精神障害者保健福祉手帳3級とはどんな状態?受けられるサービス・メリットと手当の有無【2026年】

木目のデスクに緑色の手帳、カレンダー、電卓、乗車券、税の書類、ペンが並ぶ様子 障害者手帳

Q. 精神障害者保健福祉手帳の3級とは? → A. 一人で外出や家事はできるものの、強いストレスや変化に弱く、生活や仕事に一定の制限がある状態の等級です。税の障害者控除や障害者雇用枠、JRの運賃割引などが使えます。一方で、国の手当で3級を条件にしたものはなく、自治体の手当も1・2級に限るものが多いのが実情です。

この記事でわかること

  • 3級はどんな状態の人が対象になるのか(2級との違い)
  • 3級で受けられる全国共通のサービスと、自治体ごとのサービス
  • 3級で使えないことが多いサービス
  • 3級の手当・障害年金との関係
  • 等級を変えたいとき・更新のときの考え方

「3級って、軽いから意味がないのでは?」。手帳を勧められた方や、3級の通知を受け取った方から、こうした声が出ることがあります。本記事では、厚生労働省の判定基準と、横浜市・島根県松江市などの案内をもとに3級の中身を整理しました。内容は2026年11月時点で確認したものです。サービスの内容は自治体や事業者で異なるため、最終的にはお住まいの窓口で確かめてください。

手帳の制度全体(対象の病気・申請方法・JR割引のしくみ)は精神障害者保健福祉手帳とは?の記事にまとめています。本記事は「3級」に絞って解説します。

精神障害者保健福祉手帳3級とは?

精神障害のために、日常生活や社会生活に制限を受ける状態を指します。判定基準の文言では「日常生活若しくは社会生活が制限を受けるか、又は日常生活若しくは社会生活に制限を加えることを必要とする程度のもの」です。

1級・2級との違いを並べると、次のようになります。

等級 判定基準の文言(要約) 生活のイメージ
1級 日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度 ほとんどの場面で他人の援助が必要
2級 日常生活が著しい制限を受ける程度 必ずしも援助は要らないが、日常生活は困難
3級 日常生活・社会生活が制限を受ける程度 生活はおおむね送れるが、なお援助や配慮が必要

※厚生労働省「精神障害者保健福祉手帳障害等級判定基準」とその別添をもとに要約。

令和6年度末の時点で、3級の手帳を持つ人は51万735人です。前年度からの伸びは3級が10.0%で、3つの等級で最も大きくなっています。数字は厚生労働省「令和6年度衛生行政報告例」によるものです。

3級の人は、どのくらい生活できる?

判定基準の別添「障害等級の基本的なとらえ方」に、3級の具体例があります。「一人で外出できるが、過大なストレスがかかる状況が生じた場合に対処が困難」という一文がその代表です。

ほかにも、次のような姿が例として書かれています。

  • 日常的な家事はできるが、状況や手順が変わると困ることがある
  • 清潔保持は困難が少なく、対人交流も乏しくない
  • 普通のストレスでは、症状の再燃や悪化が起きにくい
  • 金銭管理はおおむねできる

働いていても3級になる?

なることがあります。同じ別添では、デイケアや就労移行支援・就労継続支援を使う人が3級の例に挙げられています。さらに「保護的配慮のある事業所で、雇用契約による一般就労をしている者も含まれる」とされています。

筆者がこの一文を読んで意外だったことがあります。「働けている=手帳の対象外」ではないと、国の基準がはっきり書いている点です。職場の配慮があって働けている方も、3級の対象になりえます。

2級と3級の違いは?

大きな違いは「援助なしにはできない」か「おおむねできるが、なお援助が必要」かです。判定基準の能力障害の欄を、2級と3級で比べてみます。

生活の場面 2級 3級
食事 援助なしにはできない 自発的にできるが、なお援助が必要
身の回りの清潔 援助なしにはできない 自発的にできるが、なお援助が必要
お金の管理・買い物 援助なしにはできない おおむねできるが、なお援助が必要
通院・服薬 規則的に行うのは援助なしにはできない おおむねできるが、なお援助が必要
人づきあい 援助なしにはできない なお十分とはいえず不安定
手続き・公共施設 援助なしにはできない おおむねできるが、なお援助が必要

※厚生労働省の判定基準「能力障害(活動制限)の状態」より要約。8項目のうち6項目を抜粋。

外出についても書き分けがあります。2級は「付き添われなくても自ら外出できるものの、ストレスがかかる状況」で対処が困難です。3級は「過大な」ストレスがかかったときに対処が困難、という書き方です。

診断書のどこで3級が決まる?

目安になるのは、診断書の「日常生活能力の程度」の欄です。判定の留意事項では、ある選択肢がおおむね3級の目安とされています。「日常生活または社会生活に一定の制限を受ける」という選択肢です。

ただし、等級はこの欄だけで決まるわけではありません。病気の状態(機能障害)と、生活の8項目の評価を合わせて総合的に判定されます。

病名ごとの3級の書き方は、統合失調症・気分障害(うつ病など)・発達障害などで分かれています。たとえば気分障害では「症状は著しくはないが、これを持続したり、ひんぱんに繰り返すもの」が3級です。認知症など器質性の障害の判定は認知症と障害者手帳の記事で詳しく扱いました。

非該当と3級の境目は?

診断書で「日常生活・社会生活は普通にできる」とされると、非該当になるのが目安です。同じ留意事項に示されています。

通院中で薬を飲んでいても、生活に制限がなければ手帳は交付されません。反対に、症状が落ち着いて見えても、職場での配慮や家族の手助けで回っている場合は3級に当たる可能性があります。

3級で受けられる全国共通のサービスは?

税の控除、障害者雇用枠、JRの運賃割引は、3級でも全国共通で使えます。3級の人が「持っていて助かった」と感じやすいのは、まずこの3つでしょう。

サービス 3級での扱い ひとこと
所得税の障害者控除 27万円 本人または扶養する家族の所得から引ける
住民税の障害者控除 26万円 同上
住民税の非課税 前年の合計所得が135万円以下なら非課税 本人の所得で判断
相続税の障害者控除 10万円×(85歳−相続時の年齢) 相続人が85歳未満の場合
障害者雇用枠 対象 企業の法定雇用率に数えられる
JRの運賃割引 第2種 本人だけで片道100キロ超の普通乗車券が5割引
NHK受信料 世帯全員が住民税非課税なら全額免除 半額免除は1級のみ

※国税庁の案内、松江市「精神障害者保健福祉手帳のご案内」、東京都板橋区の住民税の案内をもとに整理。金額は2026年11月時点。

1級は「特別障害者」として控除額が大きくなります。2級・3級は同じ「障害者」の扱いで、控除額に差はありません。控除の手続きは障害者控除の記事で解説しています。

障害者雇用枠は3級でも応募できる?

応募できます。手帳の等級に関係なく、精神障害者保健福祉手帳を持っていれば企業の雇用率に数えられます。民間企業の法定雇用率は2026年7月に2.7%へ引き上げられ、求人の選択肢は広がっています。

3級の方は「働けるが、配慮があると続けやすい」状態が多いはずです。通院日の調整や、業務量・手順の配慮を相談しやすい点が、雇用枠の持ち味といえます。仕事探しの進め方は障害者雇用の求人の記事にまとめました。

JRの割引は3級だと何が使える?

第2種として、本人だけで乗る片道100キロ超の普通乗車券が5割引になります。介護者と一緒に乗る割引は、12歳未満の本人の定期乗車券に限られます。

割引を使うには、手帳の「旅客鉄道株式会社旅客運賃減額」欄に第2種の記載があることが条件です。写真が貼られていない手帳では割引を受けられません。詳しくは障害者のJR割引の記事を見てください。

自治体によって受けられるサービスは?

3級でも使える自治体独自のサービスは少なくありません。ここでは、等級別にサービスを公開している横浜市と松江市の例を見てみます。

自治体 3級で使えるサービスの例
横浜市 福祉特別乗車券(市営地下鉄・市内路線バスが無料。年額1,200円の負担金)、市営・県営住宅の入居優遇、市営駐車場の割引、タクシー料金の割引、自動車運転免許取得費の助成
島根県松江市 市営バスの優待ICOCAで市内区間の本人運賃が無料、市営住宅の入居優遇、自動車運転免許取得費の助成(3分の2・上限10万円)、精神通院医療費の自己負担の助成

※横浜市「精神手帳 3級」(2024年11月7日更新)と、松江市の案内より抜粋。条件は各市の案内で確認してください。

このほか、携帯電話会社の料金割引を3級でも受けられる場合があります。映画館・美術館などの入場料割引も同様です。対象の等級は事業者ごとに決まっているため、利用前に確かめてください。

自分の市のサービスを調べるには?

市区町村の障害福祉の窓口で、等級別のサービス一覧(しおり)をもらうのが近道です。手帳の交付時に渡す自治体も多くあります。

筆者がいくつかの自治体の案内を読み比べて感じたのは、交通の割引が地域で大きく違うことです。横浜市は地下鉄とバスが無料になる一方、別の地域では路線バスの半額にとどまる例もありました。引っ越しの予定がある方は、転居先の一覧も見ておくと安心です。

3級では使えないことが多いサービスは?

重度の人を対象にした医療費助成や、タクシー券、自動車税の減免は、3級では使えないことが多くなります。松江市の案内で、1級・2級に限られているものを並べてみます。

サービス 松江市での対象
重度障がい者の福祉医療(医療費助成) 1級、または2級で他の障害が重なる方
福祉タクシー利用券 1級のみ
思いやり駐車場の利用証 1級のみ
自動車税・軽自動車税の減免 1級のみ
NHK受信料の半額免除 1級で本人が世帯主(契約者)の場合
生活保護の障害者加算 1級・2級

※松江市「精神障害者保健福祉手帳のご案内」より。自治体によって対象は異なります。

医療費については、手帳がなくても使える「自立支援医療(精神通院医療)」があります。通院の自己負担が原則1割になる制度で、等級は問いません。医療費の助成の違いは障害者手帳と医療費の記事で整理しています。

3級で使える障害福祉サービスは?

就労移行支援や就労継続支援、自立訓練などの障害福祉サービスは、3級の方も利用できます。判定基準の別添でも、これらを使う人が3級の例に挙がっていました。

障害福祉サービスは、手帳の等級で使えるかどうかが決まるしくみではありません。市区町村に申請し、心身の状態や希望を聞き取ったうえで支給が決まります。手帳がない方でも、医師の診断書などで利用できる場合があります。

サービス どんな人に向いているか
就労移行支援 一般企業で働くことを目指し、訓練や職場探しをしたい
就労継続支援A型・B型 体調に合わせて、雇用契約あり・なしで働きたい
自立訓練(生活訓練) 生活リズムや家事など、暮らしの力を整えたい
相談支援 どのサービスを使えばよいか一緒に考えてほしい

※厚生労働省の判定基準の別添と、障害者総合支援法のサービス区分をもとに整理。

3級の方は「働く」に関わるサービスとの相性がよい等級です。それぞれの違いは障害者の就労支援の記事で解説しています。

3級でもらえる手当はある?

国の手当で、精神障害者保健福祉手帳3級を条件にしたものはありません。特別障害者手当などは手帳の等級ではなく、別の診断書で判定されます。

自治体独自の福祉手当はありますが、対象を1級・2級に限る例が目立ちます。3級でも対象になる手当があるかは、お住まいの市区町村で確かめるのが確実です。

障害年金の3級と同じ?

同じではありません。手帳と障害年金は別の制度で、審査も別々に行われます。松江市の案内では、手帳3級を「概ね障害年金3級に相当」と説明しています。ただし、これはあくまで目安です。

注意したいのは、障害年金の3級は障害厚生年金にしかない点です。初診日に国民年金だけに入っていた方は、障害基礎年金(1級・2級)が対象になります。年金の金額は障害年金の金額の記事にまとめました。精神疾患での受給の目安は精神疾患と障害年金の記事を参考にしてください。

3級の手帳を受け取ったら、まず何をする?

最初にやっておきたいのは、税の控除の申告、自治体のサービス一覧の確認、手帳の写真と減額欄の確認の3つです。

順番 やること ポイント
1 税の障害者控除を申告する 会社員は年末調整、それ以外は確定申告で。扶養している家族の申告にも使える
2 自治体のサービス一覧をもらう 交通・住宅・施設の割引は窓口で等級別に確認
3 写真と減額欄を確かめる JRなどの割引は、写真がない手帳では使えない

※本記事で紹介した国税庁・横浜市・松江市の案内をもとに整理。

控除は、過去の年分でもさかのぼって申告できる場合があります。手帳の交付が年の途中でも、その年の12月31日時点で持っていれば対象です。

3級を取るメリットとデメリットは?

メリットは「働き方の選択肢」と「家計の負担軽減」です。デメリットは、使えないサービスがあることと、更新の手間でしょう。表で整理します。

内容
メリット 障害者雇用枠に応募できる/税の控除で家族の税金も下がる/JRや地域の交通割引が使える/公営住宅の入居優遇がある
デメリット 重度向けの助成や手当は対象外が多い/2年ごとに更新の手続きがある/更新のたびに診断書代がかかる

手帳を持っていることが、自動で職場に伝わるしくみはありません。ただし、年末調整で障害者控除を申告すると、勤務先には手帳の存在が伝わります。不要になったら返すこともできます。「持つか迷う」段階の方は、障害者手帳のデメリットの記事も読んでみてください。

3級から等級を変えたいときは?

状態が変わったときは、有効期限の前でも等級の変更を申請できます。松江市の案内では、障害の状態が重くなった・軽くなったときは、新規と同じ書類で手続きするとしています。

判定では、現在の状態に加えて、おおむね過去2年間と今後2年間に予想される状態も考慮されます。体調の波が大きい方は、調子の悪い時期のことも主治医に伝えてください。

主治医に伝えておきたいこと

診断書は、診察室で見える姿をもとに書かれます。家での様子を短くメモして渡すと、実態に近い内容になりやすいでしょう。

メモする項目 書き方の例
食事 自分で用意できる日と、できない日の割合
身の回り 入浴・着替えを先延ばしにする頻度
お金 支払いの遅れ、衝動的な買い物があるか
通院・服薬 家族の声かけがないと飲み忘れるか
人づきあい 職場や家族とのトラブル、連絡を避ける日
ストレス時 予定の変更や叱責のあと、どうなるか

※判定基準の生活の8項目をもとに作成した例です。

判定基準の留意事項には、判定の前提が書かれています。生活能力は「アパート等で単身生活を行った場合を想定して」判定する、という一文です。家族の手助けで回っている部分は、メモに書き添えてください。

更新と有効期限は?

手帳の有効期限は2年で、期限の3か月前から更新できます。更新のたびに状態が再認定されるため、3級のまま・等級が上がる・非該当になる、のいずれもありえます。

精神障害で障害年金を受けている方は、年金証書などの写しで申請できます。診断書の代わりになるしくみです(松江市の案内)。この場合、手帳の等級は年金の等級に合わせて決まるのが一般的です。更新の流れは障害者手帳の更新の記事で解説しています。

まとめ

精神障害者保健福祉手帳3級のポイントを振り返ります。

  • 3級は「一人で外出や家事はできるが、強いストレスや変化に弱い」状態が目安
  • 働いていても、職場の配慮があれば3級の対象になりうる
  • 税の控除(所得税27万円・住民税26万円)、障害者雇用枠、JR第2種の割引は全国共通
  • 交通・住宅などの独自サービスは自治体で大きく違う
  • 医療費助成・タクシー券・手当などは1・2級に限る自治体が多い
  • 障害年金とは別の制度で、年金の3級は障害厚生年金のみ

3級は「軽いから意味がない」等級ではありません。働き方と家計を支える道具として、使えるものから使ってみてください。

よくある質問

Q: 精神障害者保健福祉手帳3級はどんな人が対象ですか?

A: 精神障害のため、日常生活や社会生活に一定の制限を受ける人です。判定基準の例では、一人で外出できるものの、過大なストレスがかかる場面では対処が難しい状態が挙げられています。

Q: 3級で受けられるサービスは何ですか?

A: 全国共通では、所得税27万円・住民税26万円の障害者控除、障害者雇用枠、JRの第2種割引などがあります。交通の無料乗車券や公営住宅の入居優遇など、自治体独自のサービスもあります。

Q: 3級でもらえる手当はありますか?

A: 国の手当で手帳3級を条件にしたものはありません。自治体独自の手当は1級・2級に限る例が多いため、お住まいの市区町村の障害福祉の窓口で確認してください。

Q: 3級で障害者雇用枠に応募できますか?

A: 応募できます。手帳の等級に関係なく、精神障害者保健福祉手帳を持っていれば企業の障害者雇用率に数えられます。

Q: 手帳3級と障害年金3級は同じですか?

A: 別の制度です。審査も別々に行われます。障害年金の3級は障害厚生年金にしかなく、初診日に国民年金だけだった方は1級・2級が対象です。

Q: 3級から2級に変更できますか?

A: 状態が重くなった場合は、有効期限の前でも等級の変更を申請できます。新しい診断書が必要になるため、まず主治医に相談してください。

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