脳梗塞で障害者手帳はもらえる?申請できる時期(発症から6か月が目安)と等級の決まり方【2026年】

木目のデスクに白紙のクリップボードとペン、リハビリ用のボール、折りたたみ杖、カードケース、卓上カレンダー、マグと観葉植物 障害者手帳

Q. 脳梗塞で障害者手帳はもらえる? → A. まひや言葉の障害が後遺症として残れば、身体障害者手帳の対象になりえます。判定されるのは病名ではなく、残った障害の種類と程度です。診断書を書く時期は、原則として発症から6か月以降が目安です。記憶や注意力の障害(高次脳機能障害)が残った場合は、精神障害者保健福祉手帳の対象になることもあります。

この記事でわかること

  • 脳梗塞の後遺症で対象になる手帳と、障害の種類
  • 申請できる時期が「発症から6か月」とされる理由と例外
  • 片まひ・失語症・飲み込みの障害の等級の目安
  • 申請の流れと、障害年金・介護保険との違い

「退院のときに、手帳のことを聞いておけばよかった」。脳梗塞のあと、ご家族からよく聞かれる声です。入院中は治療とリハビリで手いっぱいで、手帳まで気が回らないのは当然でしょう。本記事では、厚生労働省の認定基準と自治体の手引きをもとに整理しました。参考にしたのは、神奈川県が公開する認定基準の解説や診断書の様式です。内容は2026年11月時点で確認したものです。最終的な判定は審査で決まるため、ここで示す等級は目安として読んでください。

脳梗塞で障害者手帳はもらえる?

答えは「後遺症の程度しだいで、もらえる」です。脳梗塞になったことだけでは、手帳は交付されません。治療やリハビリを続けても残った障害が、基準に当てはまるかで決まります。

脳梗塞の後遺症は、脳のどこが傷ついたかで変わります。そのため、対象になる手帳や障害の種類も一人ひとり違います。

残った後遺症の例 対象になりうる手帳 障害の種類
片側の手足のまひ(片まひ) 身体障害者手帳 肢体不自由
言葉が出ない・理解しにくい(失語症) 身体障害者手帳 音声・言語機能障害
ろれつが回らない(構音障害) 身体障害者手帳 音声・言語機能障害
飲み込みにくい(嚥下障害) 身体障害者手帳 そしゃく機能障害
記憶・注意・段取りの障害(高次脳機能障害) 精神障害者保健福祉手帳 器質性精神障害

※認定基準と自治体の案内をもとにした整理。実際の判定は審査で決まります。

手帳の種類の違いは、障害者手帳の種類の記事で詳しく紹介しています。

脳出血やくも膜下出血でも同じ?

考え方は同じです。認定基準では、脳梗塞・脳出血などをまとめて「脳血管障害」として扱います。原因の病名より、残った障害の程度が判定の中心です。

申請できるのはいつから?発症から6か月が目安の理由

脳血管障害の場合、障害が固定したと判断する時期は「原則として6か月以降」とされています。神奈川県の認定基準の解説に、この扱いが書かれています。発症からしばらくは、リハビリで回復が続くことが多いためです。

手帳は「永続する障害」に交付されるものです。回復の途中で判定すると、実際より重い等級になったり、逆に早すぎて基準を満たさなかったりします。そのため、状態が落ち着くのを待ってから診断書を作るのが基本です。

6か月より前に申請できる場合は?

6か月に満たない時期でも、診断書を作れる場合があります。同じ解説では、その場合の条件として、CTやMRIの結果などで次の2点を具体的に書くよう求めています。

  • 脳のどこが、どの範囲で傷ついているか
  • 機能障害がどう変わってきて、固定していると言えるか

つまり「早めに出してはいけない」わけではありません。医師が、これ以上の回復は見込みにくいと客観的に説明できれば、早い時期の申請もありえます。ただし、実際の受け付けの運用は自治体や医療機関で差があります。早めに申請したいときは、まず主治医に相談してください。

筆者が認定基準を読んで感じたこと

筆者が神奈川県の解説を読んで印象に残ったのは、「症状固定」の考え方です。診断書の記入要領では、機能回復訓練(リハビリ)が終わった日をもって症状の固定とする、と書かれていました。つまり手帳の申請は、リハビリの区切りと深く関係しています。

回復期のリハビリ病院を退院する前後は、主治医や医療ソーシャルワーカーに相談しやすい時期です。「手帳の申請はいつ頃がよいか」を、このタイミングで一度聞いておくと流れがつかめます。

片まひの等級は何級になる?

手と足それぞれの障害の程度を判定し、組み合わせて等級を決めます。脳梗塞の片まひは、肢体不自由の「上肢(腕・手)」と「下肢(脚・足)」として判定されるのが一般的です。体のバランスが保てない場合は、「体幹」の障害として判定されることもあります。

身体障害者福祉法の等級表では、片側の手・足の障害が次のように定められています。

障害の部位と程度 等級
一上肢の機能を全廃(片腕がほとんど使えない) 2級
一上肢の機能の著しい障害 3級
一上肢の機能の軽度の障害 7級
一下肢の機能を全廃(片脚がほとんど使えない) 3級
一下肢の機能の著しい障害 4級
一下肢の機能の軽度の障害 7級

※神奈川県「身体障害認定基準等の解説(肢体不自由)」掲載の等級表より抜粋。

手と足の両方にまひがあるときは?

手と足の障害を「指数」という点数に置きかえ、合計点で等級を決めます。指数は、2級が11、3級が7、4級が4、7級が0.5です。合計が18以上なら1級、11〜17なら2級、7〜10なら3級の範囲です。

片まひの例 計算 等級の目安
腕は全廃・脚は全廃 11+7=18 1級の範囲
腕は全廃・脚は著しい障害 11+4=15 2級の範囲
腕は著しい障害・脚は著しい障害 7+4=11 2級の範囲
腕は軽度・脚は著しい障害 0.5+4=4.5 4級の範囲

※指数の計算は等級表の解説で定められた方法による。実際の等級は審査で決まります。

複数の障害を合算する考え方は、関節リウマチと障害者手帳の記事でも詳しく説明しています。

杖や装具を使って歩けている場合は?

肢体の障害は、原則として補装具を着けない状態で判定されます。普段は短下肢装具(足首を支える装具)と杖で歩けていても、外したときの動きを医師に伝えてください。

失語症や、ろれつが回らない場合の等級は?

言葉の障害は「音声・言語機能障害」として判定され、等級は3級か4級です。身体障害者福祉法の等級表では、この障害は3級と4級だけが定められています。

程度 等級 状態のイメージ
音声機能または言語機能の喪失 3級 言葉による意思の伝達がほとんどできない
音声機能または言語機能の著しい障害 4級 言葉だけでは意思を伝えることが難しい

※東京都・岡山市などの指定医向け資料より。岡山市の資料では、言語機能の喪失の例に失語症が挙げられています。

神奈川県の診断書の様式では、原因となった病名の書き方の例に「脳梗塞(失語症)」と載っています。脳梗塞による失語症が、この区分で判定されることを前提にした様式です。

まひと失語症の両方がある場合は、それぞれを判定し、指数を合算します。たとえば片まひで3級相当、失語症で3級相当なら、指数は7+7=14で2級の範囲です。

飲み込みの障害も手帳の対象になる?

対象になりえます。区分は「そしゃく機能障害」で、等級は3級か4級です。神奈川県の診断書の様式では、次のように説明されています。

  • 3級(そしゃく機能の喪失):経管栄養以外に方法のない、そしゃく・嚥下機能の障害
  • 4級(そしゃく機能の著しい障害):著しいそしゃく・嚥下機能の障害など

どちらも具体例に「延髄機能障害(仮性球麻痺、血管障害を含む)」が入っています。脳梗塞のあとに飲み込みが難しくなり、胃ろうなどで栄養をとっている方は、主治医に該当するか確認してみてください。

記憶や注意力の障害が残ったときは?

高次脳機能障害は、精神障害者保健福祉手帳の対象になります。茨城県の案内では、高次脳機能障害は「器質性精神障害」にあたると説明されています。物忘れが増えた、2つのことを同時にできない、感情を抑えにくい。こうした症状は外から見えにくく、手続きから漏れやすい障害です。

精神障害者保健福祉手帳は、初診日から6か月以上たってから申請できます(愛知県・神戸市などの案内より)。診断書は精神科医が書くのが原則です。ただ茨城県の案内では、リハビリ科・脳神経外科・脳神経内科などの医師も書けるとしています。運用は都道府県で違うため、窓口で確認してください。

身体と精神の両方の手帳を持てる?

持てます。片まひで身体障害者手帳、高次脳機能障害で精神障害者保健福祉手帳と、2つの手帳を併せて持つ方もいます。受けられる支援が手帳ごとに違うこともあるため、両方の対象になりそうなら、それぞれ相談してみてください。

脳梗塞で手帳を申請する流れは?

流れは「指定医の診断書をもらい、市区町村の窓口に申請する」です。身体障害者手帳の診断書は、身体障害者福祉法第15条の指定を受けた医師(指定医)しか書けません。脳梗塞の場合は、脳神経内科・脳神経外科・リハビリテーション科などの指定医が担当することが多いでしょう。

  1. 市区町村の障害福祉の窓口で、申請書と診断書の様式をもらう
  2. 指定医を受診し、障害の種類に合った診断書・意見書を書いてもらう
  3. 申請書・診断書・写真(縦4cm×横3cmが多い)・マイナンバーの確認書類をそろえる
  4. 市区町村の窓口に提出する
  5. 審査を経て、手帳が交付される

※必要書類や期間は自治体で異なります。

まひと失語症のように障害が2つあるときは、それぞれの様式の診断書が必要になることがあります。申請の全体像は障害者手帳の申請方法の記事、写真の規格は障害者手帳の写真サイズの記事にまとめています。

本人が窓口に行けないときは?

申請書の提出を家族などの代理人に認めている自治体があります。委任状や本人確認の書類が必要になることがあるので、事前に窓口へ電話で確認しておくと安心です。

診断書を書いてもらう前に準備しておくことは?

家での生活で「できないこと」を、具体的にメモしておきましょう。肢体不自由の診断書には、関節の動きや筋力のほかに、着替え・食事・移動などの動作を評価する欄があります。神奈川県の解説では、片まひのように左右で差がある場合、両手を使う動作の評価も書くよう求めています。

場面 書き出しておく例
着替え 片手でボタンがとめられない、ズボンを一人ではけない
食事 まひ側の手で茶わんを持てない、むせることが増えた
移動 屋外は杖と装具が必要、階段は手すりがないと上れない
会話 言いたい言葉が出てこない、電話の内容を聞き取れない
家事・段取り 料理の手順がわからなくなる、約束を忘れてしまう

診察の時間は短く、本人は「できます」と答えてしまいがちです。ご家族が普段の様子をメモにして医師に渡すと、実際の状態が伝わりやすくなります。

手帳を取ると、どんな支援が使える?

等級や自治体によって、税の軽減や交通費の割引、補装具の支給などが受けられます。内容は等級で変わるため、交付後に窓口で案内をもらうのが確実です。

  • 所得税・住民税の障害者控除
  • 鉄道・バスなどの運賃割引(等級による)
  • 自動車税の減免(等級や条件による)
  • 杖・装具・車いすなど補装具の費用の支給
  • 自治体の医療費助成(重い等級が中心)

自動車を使う方は、障害者の自動車税減免の記事も参考になります。手帳を持つことに迷いがある方は、障害者手帳のデメリットの記事で気になる点を確認しておくと安心です。

仕事に戻るときにも役立つ?

手帳があると、障害者雇用の枠での就職や配慮の相談がしやすくなります。企業が障害のある人を雇うときの雇用率の算定は、原則として手帳を持つ人が対象です。そのため、復職や転職の場面で手帳が判断材料になることがあります。

一方、手帳を会社に伝えるかどうかは本人が決められます。今の職場に戻る場合も、まひ側の手を使う作業を減らしてほしいといった配慮は、手帳がなくても相談できます。迷うときは、ハローワークの専門窓口や地域障害者職業センターに相談してみてください。

介護保険とはどちらを使う?

40〜64歳の方でも、脳梗塞などの脳血管疾患が原因なら介護保険のサービスを使えます。脳血管疾患は、介護保険の「特定疾病」に入っているためです。ホームヘルプやデイサービスのように両方の制度にあるサービスは、原則として介護保険が優先されます。一方、補装具の支給など介護保険にないものは、手帳の制度で利用できます。使い分けは、ケアマネジャーや市区町村の窓口に相談してください。障害福祉の制度全体は障害福祉サービスの記事で紹介しています。

障害年金とは何が違う?

手帳と障害年金は別の制度で、申請できる時期も等級の基準も別々です。手帳で何級でも、障害年金の等級が同じになるとは限りません。

項目 身体障害者手帳 障害年金
根拠 身体障害者福祉法 国民年金法・厚生年金保険法
等級 1〜6級(7級は重複時のみ) 1〜3級(3級は厚生年金のみ)
窓口 市区町村 年金事務所・市区町村
申請できる時期 原則、発症から6か月以降 原則、初診日から1年6か月後
脳血管障害の特例 6か月前でも客観的な説明があれば可 初診日から6か月以降に回復が望めない場合

※障害年金は日本年金機構「国民年金・厚生年金保険 障害認定基準」より。

障害年金は、原則として初診日から1年6か月たった日(障害認定日)の状態で判定します。ただ認定基準では、脳血管障害で機能障害が残っている場合の特例を定めています。初診日から6か月たった日以後に、医学的にそれ以上の回復がほとんど望めないと認められる場合です。このときは、1年6か月より前でも障害認定日として扱われます。

受給の条件は障害年金の受給要件の記事、金額は障害年金の金額の記事で確認できます。

公式の基準はどこで見られる?

基準の原文は、国や自治体が公開している資料で確認できます。肢体不自由の等級表と脳血管障害の時期の扱いは、神奈川県の身体障害認定基準の解説(肢体不自由)にまとまっています。飲み込みの障害は神奈川県の診断書様式(音声・言語・そしゃく機能障害用)で確認できます。障害年金は日本年金機構の障害認定基準、高次脳機能障害の手帳は茨城県の案内が参考になります。

まとめ

脳梗塞で障害者手帳を考えるときのポイントを整理します。

  • 判定されるのは病名ではなく、後遺症として残った障害の程度
  • まひは肢体不自由、言葉は音声・言語機能障害、飲み込みはそしゃく機能障害
  • 診断書を書く時期は、原則として発症から6か月以降
  • 6か月前でも、CTやMRIなどで固定が説明できれば申請できる場合がある
  • 片まひは手と足の指数を合算して等級を決める
  • 高次脳機能障害は、精神障害者保健福祉手帳の対象になる

まずは主治医か病院の相談員に「手帳の対象になりそうか、いつ頃申請できるか」を聞いてみてください。リハビリの区切りに合わせて準備を始めると、退院後の生活の支えを早めに整えられます。等級全体の考え方は障害者手帳の等級の記事で解説しています。ほかの病気の例は障害者手帳の対象になる病名の記事でも紹介しています。

よくある質問

Q: 脳梗塞になったら、すぐに障害者手帳を申請できますか?

A: すぐには申請できないのが一般的です。脳血管障害は、障害が固定したと判断する時期が原則として発症から6か月以降とされています。それより前でも、CTやMRIの結果などで障害の固定を具体的に説明できれば、診断書を作れる場合があります。

Q: 脳梗塞の片まひで障害者手帳は何級になりますか?

A: 手と足の障害の程度で変わります。片腕の全廃は2級、片脚の全廃は3級で、両方なら指数の合計が18となり1級の範囲です。片脚の著しい障害だけなら4級が目安です。実際の等級は審査で決まります。

Q: 失語症だけでも障害者手帳はもらえますか?

A: 音声・言語機能障害として、3級または4級に該当する可能性があります。言葉による意思の伝達がほとんどできなければ3級、言葉だけでは伝えるのが難しい状態なら4級が目安です。

Q: 物忘れや注意力の低下だけが残った場合はどうなりますか?

A: 高次脳機能障害として、精神障害者保健福祉手帳の対象になる可能性があります。初診日から6か月以上たってから申請でき、精神科医のほか、自治体によってはリハビリ科や脳神経外科の医師も診断書を書けます。

Q: 杖と装具で歩けていると、等級は低くなりますか?

A: 肢体の障害は、原則として補装具を着けない状態で判定されます。装具や杖を外したときにどこまで動けるかを、医師に具体的に伝えてください。

Q: 障害者手帳と障害年金は、どちらを先に申請すればよいですか?

A: 別の制度なので、条件を満たせばどちらも申請できます。手帳は原則として発症から6か月以降が目安です。障害年金は初診日から1年6か月後が原則ですが、脳血管障害では6か月以降に回復が望めないと認められれば早まる特例があります。

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