Q. 障害者雇用の求人はどこで探せばいい? → A. まずはハローワークの専門援助部門に相談し、必要に応じて民間の求人サイトや支援機関を組み合わせるのが基本です。ハローワークでは障害のある方のための求人を探せるほか、障害に詳しい職員が面接への同行までしてくれます。
この記事でわかること
- 障害者雇用の求人と一般の求人の違い、手帳が必要かどうか
- ハローワーク・求人サイト・支援機関など、求人の探し方5つの特徴
- 給与の目安と、求人を選ぶときに確認したいポイント
「障害者雇用で働きたいけれど、どこで求人を探せばいいのか分からない」という声はよく聞きます。探し方は1つではありません。それぞれ得意なことが違います。本記事では、厚生労働省やハローワークの公開情報をもとに、探し方と選び方を整理しました。制度の細かい扱いは、お住まいの地域のハローワークで確認してください。
障害者雇用の求人とは?一般の求人との違い
障害者雇用の求人とは、障害のある方を対象に企業が出している求人のことです。「障害者枠」「障害者専用求人」とも呼ばれます。応募するときに障害を企業に伝え、必要な配慮を受けながら働く前提の求人です。
企業が障害者雇用の求人を出す背景には、法定雇用率があります。民間企業は2026年7月から、従業員の2.7%以上の障害者を雇う義務を負っています。詳しくは障害者雇用率の記事で解説しています。
一般枠と障害者枠、どちらで応募する?
障害を伝えて働くか、伝えずに働くかで、応募の仕方は大きく3つに分かれます。どれが正解というものではありません。体調や仕事内容に合わせて選んでください。
| 応募の仕方 | 内容 | 向いている人の例 |
|---|---|---|
| 障害者枠で応募 | 障害者専用の求人に、障害を伝えて応募する | 配慮を受けながら長く働きたい人 |
| 一般枠で障害を伝えて応募(オープン) | 一般の求人に、障害を伝えたうえで応募する | 職種の選択肢を広げつつ配慮も得たい人 |
| 一般枠で障害を伝えずに応募(クローズ) | 一般の求人に、障害を伝えずに応募する | 配慮がなくても業務に支障が少ない人 |
クローズで働くと、職種の幅は広がります。一方で、通院や体調の波への配慮は受けにくくなるでしょう。障害を伝えた場合、事業主には合理的配慮を提供する義務があります。この点は、障害者雇用促進法で定められています。
障害者雇用の求人はどこで探せる?主な5つの探し方
障害者雇用の求人は、主に5つの方法で探せます。窓口での相談、ネット検索、面接会、民間サービス、支援機関です。特徴を表にまとめました。
| 探し方 | 主な特徴 | 費用 |
|---|---|---|
| ハローワークの専門援助部門 | 障害に詳しい職員が相談・紹介・面接同行まで行う | 無料 |
| ハローワークインターネットサービス | 自宅から障害のある方のための求人を検索できる | 無料 |
| 障害者向けの就職面接会 | 複数の企業と1日で面接できる | 無料 |
| 民間の求人サイト・転職エージェント | 事務職や専門職の求人、非公開求人を扱うことがある | 原則無料 |
| 就労移行支援などの支援機関 | 訓練や実習を経て、企業とのマッチングを手伝う | 所得に応じた負担(0円の人も多い) |
ひとつに絞る必要はありません。ハローワークを軸にして、他の方法を足していく人が多いようです。
ハローワークの専門援助部門で相談する
ハローワークには、障害のある方の就職を専門に支援する窓口があります。「専門援助部門」などと呼ばれ、障害について専門的な知識を持つ職員・相談員が配置されています。
ハローワークインターネットサービスの案内によると、受けられる支援は次のとおりです。
- 障害のある方のための求人と、一般の求人の両方への応募
- その人に合った求人を出すよう、事業主に個別に依頼する
- 採用面接への同行
- 障害のある方を対象にした就職面接会の開催
利用の最初には、求職申込みの手続きが必要です。窓口で相談しながら、希望の仕事や配慮してほしいことを整理していきます。
相談に行く前に準備しておくと話が早いもの
初回の相談では、これまでの経歴と配慮してほしいことを整理して持っていくと話が早く進みます。必要な持ち物はハローワークによって異なるため、事前に電話で確認してください。
| 準備するもの | ポイント |
|---|---|
| 障害者手帳(持っている場合) | 障害者専用の求人に応募するときに確認されます |
| 職歴・学歴のメモ | 勤めた期間と仕事内容を簡単に書き出しておきます |
| 配慮してほしいことのメモ | 通院の頻度、苦手な作業、休憩の取り方などをまとめます |
| 希望の条件 | 勤務地・勤務時間・職種の優先順位を決めておきます |
主治医に、働くことについての意見を聞いておくのも役立ちます。体調面で無理のない勤務時間を知る手がかりになるからです。窓口によっては、主治医の意見書の提出を求められることもあります。
ハローワークを通じた障害者の就職は増えています。厚生労働省の令和6年度の職業紹介状況では、就職件数は115,609件で、前年度より4.4%増えました。新規の求職申込みは268,107件です。
ハローワークインターネットサービスで検索する
自宅のパソコンやスマホからも、障害のある方のための求人を検索できます。検索画面の「求人区分」で「障害のある方のための求人」を選ぶと、障害者専用の求人に絞り込めます。
勤務地や職種、キーワードでも絞り込めます。気になる求人を見つけたら、求人番号を控えてハローワークの窓口で相談してください。応募の手続きは、窓口を通して進めるのが一般的です。
障害者向けの就職面接会に参加する
就職面接会は、障害者雇用に前向きな企業と1日で何社も話せる場です。各地のハローワークや労働局が、年に何回か開いています。
書類だけでは伝わりにくい人柄や意欲を、直接伝えられるのが利点です。開催日程は、地域のハローワークのサイトで案内されています。参加前に、ハローワークで求職申込みを済ませておくとスムーズです。
民間の求人サイト・転職エージェントを使う
民間には、障害者雇用に特化した求人サイトや転職エージェントもあります。事務職やIT系など、オフィスワークの求人を多く扱うサービスが目立ちます。
エージェントでは、担当者が求人の紹介から応募書類の添削、面接対策まで手伝ってくれます。職業紹介を行う事業者は、原則として求職者から手数料を取れないため、利用は基本的に無料です。ただし、求人が都市部に偏る傾向があります。地方で探す場合は、ハローワークと併用してください。
就労移行支援や支援機関を通して探す
働いた経験が少ない場合や、ブランクが長い場合は、支援機関を通して探す方法もあります。訓練や職場実習を経てから就職するため、自分に合う仕事を見極めやすくなります。
| 支援機関 | 主な役割 |
|---|---|
| 就労移行支援事業所 | 原則2年以内の訓練・実習を通じて、一般企業への就職を支援する |
| 障害者就業・生活支援センター | 仕事と生活の両面の相談に、一体的に応じる |
| 地域障害者職業センター | 職業評価やジョブコーチ支援を行う。各都道府県に設置 |
就労移行支援とA型・B型の違いは、障害者の就労支援の記事で詳しく説明しています。
障害者雇用の給料はどのくらい?働き方の目安
障害者雇用の給料は、障害の種類や週の労働時間によって大きく変わります。国の調査で、平均的な金額を確認しておきましょう。
厚生労働省の令和5年度障害者雇用実態調査では、1か月の平均賃金は次のとおりでした。
| 障害の種類 | 平均賃金(全体) | うち週30時間以上で働く人 |
|---|---|---|
| 身体障害 | 23万5千円 | 26万8千円 |
| 知的障害 | 13万7千円 | 15万7千円 |
| 精神障害 | 14万9千円 | 19万3千円 |
| 発達障害 | 13万円 | 15万5千円 |
※令和5年(2023年)6月1日時点の調査。超過勤務手当を含む金額で、従業員5人以上の民営事業所が対象です。
全体の平均が低めに見えるのは、短時間で働く人も含まれるためです。週30時間以上で働く人に絞ると、金額は上がります。あくまで平均の数字なので、個々の求人の給与は求人票で確認してください。
障害者手帳がなくても障害者雇用の求人に応募できる?
障害者専用の求人に応募するには、原則として障害者手帳が必要です。企業が法定雇用率のカウントに入れるには、手帳などで障害を確認する必要があるためです。
ただし、ハローワークの専門的な支援は手帳がなくても利用できます。障害のために長く職業生活に制限を受けている人が対象です。手帳を取るかどうかは、本人が決めることです。迷っている段階でも、まず窓口で相談してみてください。
手帳には3種類あり、それぞれ対象が違います。全体像は障害者手帳の種類の記事、精神障害の方は精神障害者保健福祉手帳の記事を参考にしてください。
障害者雇用の求人を選ぶときのチェックポイント
求人を選ぶときは、給与だけでなく「長く働き続けられるか」を軸に見てください。障害者雇用では、入社後の定着が大きな課題になっています。
国の調査でも、平均勤続年数には差があります。身体障害者は12年2か月ですが、精神障害者は5年3か月、発達障害者は5年1か月でした。合わない職場を選ぶと、早期の離職につながりかねません。
| チェック項目 | 確認したいこと |
|---|---|
| 仕事内容 | 具体的な業務が書かれているか。自分の得意・苦手と合うか |
| 勤務時間 | 短時間から始められるか。残業はどのくらいか |
| 配慮の実績 | 通院・休憩・業務量の調整など、過去に対応した例があるか |
| 雇用形態 | 正社員・契約社員の別と、契約更新や正社員登用の有無 |
| 定着の支援 | 相談できる担当者や、支援機関との連携があるか |
| 通勤 | 通勤時間や混雑が、体調の負担にならないか |
配慮してほしいことは、面接の場で具体的に伝えるのがおすすめの進め方です。例えば「疲れやすいので1時間に1回休憩がほしい」のように伝えます。場面と内容がセットだと、企業も検討しやすくなります。職場以外での配慮の考え方は、障害者差別解消法の記事も参考になります。
いきなりの就職が不安なら?トライアル雇用という選択肢
「働けるか不安」という場合は、障害者トライアル雇用を利用する方法があります。一定期間、試しに働いてから、本採用にするかを企業と本人が決める仕組みです。
愛知労働局の案内では、次のように説明されています。
- 期間は原則3か月。精神障害者は、原則6〜12か月の期間を設けられる
- ハローワーク等の紹介を通して利用する
- 未経験の職業を希望する人、過去2年以内に2回以上離職している人、離職期間が6か月を超える人などが対象
- 重度の身体・知的障害者や精神障害者は、上の条件にあたらなくても対象
トライアル雇用は、企業にとっても適性を見極める機会になります。本採用されるとは限りませんが、実際に働くことで自分に合う仕事が見えてきます。
障害者雇用の求人に応募してから入社するまでの流れ
ハローワークを使う場合、応募から入社までは大きく5つのステップで進みます。
- ハローワークで求職申込みをし、希望や配慮してほしいことを相談する
- 窓口やインターネットサービスで求人を探す
- 応募したい求人について、ハローワークから企業に連絡してもらう
- 応募書類を出し、面接を受ける(必要に応じて職員が同行)
- 内定後、勤務条件と配慮の内容を確認して入社する
就職がゴールではありません。入社後に困ったことがあれば、ハローワークや支援機関に相談できます。ひとりで抱え込まないことが、長く働くための近道です。
筆者が感じる、求人探しで迷わないコツ
筆者は、求人探しを始める前に「配慮してほしいことの一覧」を作ることをすすめています。何を伝えればよいかが整理できると、どの探し方でも話が早く進むからです。
福祉の現場の情報を調べていると、「求人の数」より「自分に合う求人」で悩む方が多い印象を受けます。求人票の文字だけでは、職場の雰囲気までは分かりません。職場見学や実習の機会があれば、積極的に使ってみてください。
もうひとつは、相談先を早めに複数持っておくことです。ハローワークの担当者と支援機関の支援員の両方に相談できると、視点が増えて判断しやすくなります。
よくある質問
Q: 障害者雇用の求人はハローワークと求人サイトのどちらがいいですか?
A: まずはハローワークの専門援助部門に相談するのが基本です。地域の求人が多く、面接同行などの支援も受けられます。事務職やIT系の求人を広く見たい場合は、民間の求人サイトや転職エージェントを併用してください。
Q: 障害者手帳を申請中でも障害者雇用の求人に応募できますか?
A: 求人によって扱いが異なります。障害者専用の求人は、原則として手帳の所持を前提にしています。申請中の場合は、応募前にハローワークの窓口や企業に確認してください。
Q: 障害者雇用の求人に正社員はありますか?
A: あります。ただし、契約社員やパートから始まる求人も多くあります。正社員登用の制度があるかどうかを、求人票や面接で確認しておくと安心です。
Q: 障害者雇用の求人で、在宅勤務はできますか?
A: 在宅勤務(テレワーク)を認める障害者雇用の求人もあります。ハローワークインターネットサービスでは、キーワードなどで絞り込んで探せます。通勤の負担が大きい方は、検討してみてください。
Q: 障害者雇用の求人に応募するとき、障害のことはどこまで話せばいいですか?
A: 仕事に影響することと、必要な配慮を中心に伝えれば十分です。診断名の詳しい経緯まで話す必要はありません。「できること」「苦手なこと」「配慮してほしいこと」の3つに分けて準備すると伝えやすくなります。
Q: 障害者雇用で働くと、一般枠よりも給料は低くなりますか?
A: 一概には言えません。同じ仕事内容なら、障害を理由に不当に低い条件にすることは認められていません。ただし、短時間勤務や業務の調整によって、結果的に給与が低くなる場合はあります。
まとめ:障害者雇用の求人は「相談先を持つ」ことから
障害者雇用の求人は、ハローワークの専門援助部門を軸に、求人サイトや支援機関を組み合わせて探すのが基本です。障害者専用の求人に応募するには原則として手帳が必要ですが、相談だけなら手帳がなくてもできます。
給与だけでなく、仕事内容・勤務時間・配慮の実績を見て、長く働ける職場を選んでください。不安があればトライアル雇用や就労移行支援も選べます。まずはお近くのハローワークで、相談の予約から始めてみてください。

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