Q. 障害年金の診断書は、誰に・どこで書いてもらえばいいのでしょうか? A. 原則として現在通院中の主治医に依頼します。医師または歯科医師に限られ、傷病の種類に対応した所定の様式を使います。様式は全部で8種類あります。どれを使うかで、必要な検査項目や記載内容が変わってきます。
この記事では、障害年金の診断書の種類・費用の目安・医師への依頼方法を整理しました。精神の診断書で特に見落とされやすいポイントも、申請準備の実務に沿って紹介します。障害年金の申請方法で必要書類の全体像を確認したうえで、診断書についてもう一段深く知りたい方に向けた内容です。
この記事でわかること
- 障害年金の診断書が傷病ごとに8種類に分かれていること
- 診断書を書いてもらえる医師の条件と、依頼から受け取りまでの流れ
- 費用の目安と、自治体によっては補助がある場合があること
- 精神の診断書で特に重要な「日常生活能力の判定」の考え方
- 受け取った診断書を提出前に確認すべきポイント
障害年金の診断書とは?申請の結果を左右する最重要書類
障害年金の診断書とは、障害の状態を医学的に証明するために医師が作成する書類です。年金事務所の担当者は、申請者の生活を直接見ているわけではありません。審査は、診断書と病歴・就労状況等申立書の記載内容だけをもとに行われます。
診断書の内容が実際の生活状況より軽く書かれてしまうと、等級が下がることがあります。不支給になることもあります。障害年金がもらえない人の特徴を見てみると、診断書の内容と生活実態がかみ合っていないケースが少なくありません。
診断書は傷病によって8種類。様式を取り違えないことが出発点
日本年金機構が案内している診断書は、様式第120号の1から7まで、全部で8種類に分かれています。
| 様式 | 対象となる障害 |
|---|---|
| 第120号の1 | 眼の障害 |
| 第120号の2 | 聴覚・鼻腔機能・平衡機能・そしゃく嚥下・言語機能の障害 |
| 第120号の3 | 肢体の障害 |
| 第120号の4 | 精神の障害 |
| 第120号の5 | 呼吸器疾患の障害 |
| 第120号の6-1 | 循環器疾患の障害 |
| 第120号の6-2 | 腎疾患・肝疾患・糖尿病の障害 |
| 第120号の7 | 血液・造血器、その他の障害 |
様式は日本年金機構の公式サイト(精神の障害用の診断書を提出するとき)や肢体の障害用の診断書を提出するときのページから、傷病ごとにダウンロードできます。形式はPDFとExcelの両方が用意されています。
複数の傷病を抱えている場合、どの様式をメインに据えるかで等級判定の視点が変わります。迷ったときは、年金事務所や社会保険労務士に事前相談しておくと安心です。
診断書を書いてもらえる医師には条件がある
診断書を記入できるのは医師または歯科医師に限られます。本人や家族、社会保険労務士が代筆することはできません。
必ずしも初診の病院である必要はなく、現在かかっている主治医に依頼するのが一般的です。ただし、請求の種類(障害認定日請求・事後重症請求など)によっては事情が変わります。特定の時点の状態を知っている医師に依頼しなければならない場面もあるためです。転院を繰り返している方は、どの時点の診断書が必要かを年金事務所で先に確認してください。
診断書を実際に作成する医師向けの案内は、日本年金機構「障害年金の診断書を作成する医師の方へ」でも公開されています。医師自身がこのページを参照しながら書くこともあります。知っておくと、依頼時の説明がしやすくなるでしょう。
請求の種類によって、依頼すべき診断書の「時点」が変わる
障害年金の請求には大きく2つの方法があり、どちらを選ぶかで依頼する診断書の内容が違ってきます。
障害認定日請求は、障害認定日(原則として初診日から1年6ヶ月を経過した日)の時点ですでに障害の状態にあったことを示す請求方法です。この場合、認定日から3ヶ月以内の状態を記載した診断書が1枚必要になります。
一方、認定日の時点では障害の状態が軽く、その後重くなった場合には事後重症請求を使います。こちらは請求日前3ヶ月以内の状態を記載した診断書1枚で足ります。
認定日から長期間が経過してから請求するケース(遡及請求)もあります。この場合は、認定日時点の診断書と現在の診断書の2枚が必要になることもあります。認定日時点にかかっていた病院が廃院・転院していることも珍しくありません。その場合は、当時のカルテが残っているか医療機関に確認するところから始めます。どちらの請求方法が自分に当てはまるかは、年金事務所の窓口で相談すると整理しやすくなります。
診断書の費用はいくら?自費診療のため病院ごとに差がある
診断書の作成は健康保険が適用されない自費診療の扱いです。金額は医療機関ごとに独自に設定されています。
一事業者の相談実績としては、5,000円から1万円程度という例が多く紹介されています(参照: 障害年金の診断書 完全ガイド|社労士によるコラム)。大学病院や専門病院では2万円を超える例もあるようです。あくまで一例としてとらえてください。依頼時には、受付や医事課で金額と作成期間を必ず確認してください。
自治体によっては、障害年金の診断書費用を一部補助する助成制度を設けている場合があります。お住まいの自治体の福祉担当窓口に、制度の有無を一度問い合わせてみてください。待つだけでなく自分から動くことが、負担を減らす近道です。
費用には、文書作成そのものの手数料だけでなく、記載内容を裏づけるための検査費用が別途かかることもあります。精神の診断書であれば心理検査、肢体の診断書であればレントゲンや関節の可動域測定といった検査が必要になる場合があります。これらは通常の診療と同様に保険診療として扱われることもあれば、自費になることもあります。依頼する前に、検査の有無とその費用区分も合わせて確認しておいてください。想定外の出費に慌てずに済みます。
依頼から受け取りまでの流れと、かかる期間の目安
依頼の流れは、次の手順で進みます。
- 年金事務所または街角の年金相談センターで様式を受け取る、またはWebでダウンロードする
- 主治医に依頼し、所定の様式を渡す
- 診断書の作成を待つ(混雑状況によって数週間かかることがある)
- 完成した診断書を受け取り、内容を確認する
- 他の必要書類とあわせて年金事務所に提出する
作成にかかる日数は病院によって幅があります。混み合う大学病院では1ヶ月以上待つこともあります。請求を急ぐ場合は、依頼時に余裕を持ったスケジュールを伝えておくとよいでしょう。
医師に正確に書いてもらうための準備
診察室での短い会話だけでは、ふだんの生活の大変さを十分に伝えきれないことがあります。
受診前に、日々の困りごとをメモにまとめて医師に渡す方法が有効です。「週に何回、どの程度の介助が必要か」のように、頻度と程度を具体的な言葉で書き出してみてください。医師も診断書に反映しやすくなります。私自身、この記事をまとめる過程で複数の相談事例に目を通しました。メモを用意していたケースほど、生活実態に沿った記載になっている印象を受けました。
口頭だけで「だいたい大変です」と伝えるより、紙に残して渡すほうが、医師の記憶にも残りやすいものです。
メモに書く内容としては、たとえば次のような項目が参考になります。
- 食事:1日に何回とれているか、誰かが声をかけないと食べ忘れるか
- 身支度・清潔保持:入浴や洗濯はどのくらいの頻度でできているか
- 金銭管理:請求書の支払いや買い物の計算でどの程度困っているか
- 対人関係:外出や人との会話でどのような不調が出るか
- 就労・家事:仕事や家事を続けられているか、続けられなくなった時期はいつか
箇条書きで構わないので、具体的な場面を思い出しながら書き出してみてください。家族が一緒にメモを作ると、本人だけでは気づきにくい困りごとが見つかることもあります。
精神の診断書で特に注意したい「日常生活能力」の考え方
精神の障害用(様式第120号の4)では、「日常生活能力の判定」と「日常生活能力の程度」が中心的な項目になります。等級を左右する重要な評価です。
食事・身辺の清潔保持・金銭管理・通院や服薬・対人関係・危機対応・社会性という7つの項目について、医師が4段階で評価します。そのうえで、生活全体の程度を5段階でまとめて評価します。
この評価は、本人が一人暮らしで誰の援助も受けられない状況を想定して記入する決まりになっています。家族と同居していて、実際は助けてもらっている場合も同じです。その援助がなかったらどうなるか、という視点で医師に伝える必要があります。精神障害で障害年金はもらえるのかという疑問を持つ方は少なくありません。その多くが、この「援助前提の生活能力」という考え方を知らないまま受診しているように感じます。
受け取った診断書は提出前に必ず確認する
診断書を受け取ったら、提出前に次の点を確認してください。
- 傷病名・初診日が申立て内容と一致しているか
- 検査結果や数値が実際のものと相違ないか
- 日常生活の制限が実態より軽く書かれていないか
- 空欄になっている項目がないか
不支給の決定が出たあとに診断書の内容を修正しても、原則として認められません。 違和感がある場合は、提出前の段階で医師に確認・相談することが何よりも大切です。どうしても提出後に納得できない結果になった場合は、3ヶ月以内の審査請求という手段も残されています。障害年金の更新の場面でも、同じ診断書の考え方が使われます。一度きちんと理解しておくと、更新時にも慌てずに済みます。
施設で働く人が利用者から相談されたときの3つのポイント
障害福祉施設で働く方は、利用者やご家族から「診断書のことがよくわからない」と相談される場面があるかもしれません。
まず、診断書の記入は医師にしかできません。職員が内容に手を加えることはできない旨を、最初に伝えてください。次に、日々の支援記録(食事・金銭管理・通院同行の様子など)は、本人が医師に状況を伝えるときの材料になり得ます。最後に、費用や期間は病院ごとに差があります。具体的な金額を断定せず、「病院に確認してみましょう」と案内するのが安全です。私も複数の相談事例に目を通す中で、感じたことがあります。職員が最初に「医師にしか書けない」と伝えるだけで、利用者の不安が和らぐ場面があるのです。
診断書の等級や金額の見通しが気になる方は、障害年金の金額の早見表もあわせて確認してみてください。
よくある質問
Q. 障害年金の診断書は、どこでもらえますか? A. 日本年金機構の公式サイトから様式をダウンロードできるほか、年金事務所の窓口でも入手できます。様式を主治医に渡して作成を依頼する流れになります。
Q. 診断書は何種類ありますか? A. 傷病の種類に応じて、様式第120号の1から7まで、合わせて8種類が用意されています。精神の障害は第120号の4を使います。
Q. 診断書の費用はどれくらいかかりますか? A. 自費診療のため病院によって差がありますが、5,000円から1万円程度という例が多いようです。大学病院などでは2万円を超える場合もあるため、依頼時に確認してください。
Q. 主治医以外に診断書を書いてもらうことはできますか? A. 医師または歯科医師であれば依頼は可能です。ただし請求の種類によっては、特定の時点の状態を把握している医師に依頼する必要があります。事前に年金事務所に確認すると安心です。
Q. 精神の診断書で特に見られているポイントは何ですか? A. 食事や金銭管理、対人関係など7項目の日常生活能力の判定と、生活全体の程度の評価です。一人暮らしで援助がない前提の記載になる点に注意してください。
Q. 診断書の内容に納得できない場合はどうすればいいですか? A. 提出前であれば医師に相談し、修正を依頼できます。提出後に不支給や等級に納得できない場合は、3ヶ月以内に審査請求という手段があります。
Q. 診断書の作成にはどれくらい時間がかかりますか? A. 病院によって幅がありますが、混雑する医療機関では1ヶ月以上かかることもあります。依頼時に余裕のあるスケジュールを伝えておくと安心です。
Q. 診断書費用について自治体の補助はありますか? A. 自治体によっては、障害年金の診断書費用を一部補助する制度を設けている場合があります。お住まいの自治体の福祉担当窓口に確認してみてください。
Q. 診断書に有効期限はありますか? A. 診断書そのものに一律の有効期限はありません。ただし、請求の種類ごとに「いつの時点の状態を記載したものか」という決まりがあります。認定日請求なら認定日から3ヶ月以内、事後重症請求なら請求日前3ヶ月以内の状態を記載したものが必要です。古い診断書のまま提出することはできません。
Q. 転院した場合、新しい病院の医師でも診断書を書いてもらえますか? A. 現在の状態についての診断書であれば、新しい主治医に依頼して問題ありません。ただし、認定日請求で認定日当時の状態を証明する必要がある場合は事情が異なります。当時かかっていた病院に遡って依頼しなければならないことがあるためです。カルテの保存期間が切れていることもあるため、早めに確認してください。

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