Q. 障害者グループホームとは? → A. 障害のある方が、主に夜間に世話人などの支援を受けながら、数人で共同生活をする住まいです。正式には障害者総合支援法の「共同生活援助」といいます。障害支援区分にかかわらず利用でき、2023年4月時点で約17万人が暮らしています。
この記事でわかること
- 障害者グループホームの仕組みと、入所施設との違い
- 3つの類型とサテライト型住居の特徴
- 入居の条件、毎月かかる費用と家賃の補助
- 入居までの流れと、見学で確認したいポイント
「親が元気なうちに、子どもの暮らしの場を考えておきたい」。グループホームを調べ始めるきっかけとして、よく挙がるのがこの声です。一方で「種類が多くて違いが分からない」「費用がいくらかかるのか見えない」という悩みもあります。本記事では、厚生労働省の資料と自治体の案内をもとに、グループホームの基本を整理しました。数字は2026年11月時点で確認できた公表資料の値です。実際の条件は市区町村ごとに異なるため、最終的にはお住まいの自治体で確認してください。
障害者グループホームとは?どんな暮らしの場?
グループホームは「地域の中にある、支援つきの共同住宅」です。アパートや一軒家に数人で暮らし、主に夜間に食事や入浴の介助、相談などの支援を受けます。日中は職場や就労支援の事業所、通所の施設に出かけるのが基本の形です。
厚生労働省の資料では、1つの住居の利用者は平均6名程度とされています。想定される利用者像として、次のような方が挙げられています。
- 単身での生活は不安があり、一定の支援を受けながら地域で暮らしたい方
- 一定の介護が必要だが、施設ではなく地域の中で暮らしたい方
- 施設を出て地域で暮らしたいが、いきなりの一人暮らしは不安な方
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 制度上の名称 | 共同生活援助(障害者総合支援法の訓練等給付) |
| 主な支援 | 主に夜間の食事・入浴・排せつの介護、相談、日常生活上の援助 |
| 住居の規模 | 入居定員は原則10人以下(1つの生活単位は2人以上10人以下) |
| 居室 | 原則個室。収納を除き7.43㎡以上 |
| 利用者数 | 172,901人(2023年4月の国保連データ) |
入所施設とは何が違う?
大きな違いは「暮らしの規模」と「日中の過ごし方」です。障害者支援施設(入所施設)は数十人規模で、日中と夜間の支援を同じ施設で受けます。グループホームは少人数の住まいで、日中は外の職場や事業所に通います。
対象の障害支援区分、費用、向いている人の比較は、障害者施設とグループホームの違いの記事で詳しく解説しています。入所施設の条件は障害者施設の入所条件と費用の記事をご覧ください。
グループホームの種類は?3つの類型とサテライト型
グループホームは、介護を誰がどう提供するかで3つの類型に分かれます。どの類型も、障害支援区分にかかわらず利用できるとされています。
| 類型 | 介護の提供 | 事業所数 | 利用者数 |
|---|---|---|---|
| 介護サービス包括型 | そのグループホームの職員が介護を提供 | 10,631 | 146,402人 |
| 外部サービス利用型 | 外部の居宅介護事業所に委託して提供 | 1,233 | 14,913人 |
| 日中サービス支援型 | そのグループホームの職員が昼夜を通じて常時提供 | 809 | 11,586人 |
※事業所数・利用者数は厚生労働省「共同生活援助に係る報酬・基準について」(2023年10月、国保連2023年4月実績)より。
介護サービス包括型
利用者の約85%が暮らす、最も一般的な類型です。世話人に加えて生活支援員が配置され、食事や入浴などの介護をホームの職員が行います。「グループホーム」と聞いて多くの人が思い浮かべるのは、この形でしょう。
外部サービス利用型
日常の援助はホームの世話人が行い、介護は外部のヘルパー事業所が担います。介護の必要が比較的少なく、身の回りのことをある程度自分でできる方が多い類型です。
日中サービス支援型
2018年度に新しく作られた、重度化・高齢化に対応する類型です。昼夜を通じて常時の介護を提供し、日中に外出が難しい方もホームで過ごせます。1つの建物に複数の住居を設けることができ、その場合の定員の合計は20人以下です。
サテライト型住居とは?
本体の住居の近くに置かれる、定員1人の住まいです。食事や交流は本体の住居で行いながら、一人暮らしに近い生活を送れます。埼玉県の基準概要(2024年3月)では、次の条件が示されています。
- 介護サービス包括型と外部サービス利用型に限る
- 一般住宅などへ3年の間に移れる見込みのある方が対象
- 本体住居1つにつき2か所まで(本体の定員が4人以下なら1か所)
- 本体住居との間を20分以内で移動できること
「いきなりの一人暮らしは不安だけれど、自分の部屋で暮らしたい」という方の練習の場として使われています。
入居できるのはどんな人?
障害者総合支援法の対象となる障害のある方が利用できます。身体障害・知的障害・精神障害(発達障害を含む)のほか、法律で定める難病の方も対象です。障害者手帳がなくても、医師の診断書などで対象と認められれば利用できる場合があります。
注意したいのは身体障害のある方の年齢です。神戸市などの案内では、65歳未満の方に限られます。ただし65歳になる前日までに障害福祉サービスなどを利用したことがある方は対象です。
障害支援区分は、どの類型でも「区分がないと入れない」わけではありません。ただし、ホームで介護を受ける場合には区分の認定が必要になるのが一般的です。区分の仕組みは障害福祉サービスの記事で解説しています。
費用はいくら?毎月かかるお金の内訳
毎月の費用は「サービスの利用者負担」と「家賃・食費などの実費」の2つに分かれます。このうち利用者負担には所得に応じた上限があります。市町村民税が非課税の世帯なら0円です。
サービスの利用者負担の上限
厚生労働省のページで示されている上限は次のとおりです。18歳以上の方の「世帯」は、本人と配偶者だけで判断します。親の収入は含まれません。
| 区分 | 世帯の収入状況 | 負担上限月額 |
|---|---|---|
| 生活保護 | 生活保護受給世帯 | 0円 |
| 低所得 | 市町村民税非課税世帯 | 0円 |
| 一般2 | 市町村民税課税世帯 | 37,200円 |
グループホームの利用者は、課税世帯なら「一般1」(9,300円)ではなく「一般2」になります。在宅で福祉サービスを使う場合と扱いが違うため、誤解しやすい点です。
家賃・食費・光熱水費は実費
家賃、食費、光熱水費、日用品費は、ホームごとに決まった額を自分で払います。金額は地域と物件で大きく変わります。都市部ほど家賃は高くなる傾向です。
| 費目 | 内容 | 補助 |
|---|---|---|
| 家賃 | 居室の家賃(共有部分を含む) | 国の補足給付(月1万円まで)、自治体の上乗せ |
| 食費 | ホームで出る食事の材料費など | なし |
| 光熱水費 | 電気・ガス・水道の按分 | なし |
| 日用品費 | トイレットペーパー・洗剤など | なし |
家賃の補助(補足給付)
生活保護世帯や市町村民税非課税世帯の方には、家賃の補足給付があります。正式には「特定障害者特別給付費」と呼ばれる仕組みです。家賃が1万円以上なら月1万円、1万円未満なら家賃の実費が支給されます。
自治体が独自に上乗せしている例もあります。たとえば神戸市は、家賃が1万円を超える非課税世帯の方に独自の助成をしています。金額は「(家賃−1万円)×2分の1」で、月15,000円が上限です(生活保護受給中の方は対象外)。お住まいの自治体の障害福祉の窓口で、独自の助成があるか確認してみてください。
月の費用のイメージ
あくまで一例として、非課税世帯の方が次のホームに入った場合を考えます。家賃4万円、食費3万円、光熱水費1万円、日用品費5千円のホームです。実費は合計85,000円で、補足給付の1万円を引くと75,000円です。サービスの利用者負担は0円になります。
ここに自治体の助成が加われば、負担はさらに下がります。実際の金額はホームによって大きく違うため、見学のときに内訳を必ず書面でもらいましょう。
障害年金や手当で暮らせる?
多くの入居者は、障害年金や就労による収入から費用を払っています。障害基礎年金の金額は障害基礎年金と障害厚生年金の違いの記事、受け取れる手当は障害者が使える給付金一覧の記事でまとめています。年金の額とホームの実費を並べてみると、無理のない予算が見えてきます。
入居までの流れは?5つのステップ
入居には、市区町村から「共同生活援助」の支給決定を受けることが必要です。ホームとの契約だけでは入居できません。一般的な流れは次のとおりです。
- 市区町村の障害福祉の窓口や、相談支援事業所に相談する
- 気になるホームを見学し、可能なら体験利用をする
- 市区町村に申請し、必要に応じて障害支援区分の認定を受ける
- サービス等利用計画を作り、支給決定と受給者証の交付を受ける
- ホームと契約し、入居する
体験利用は、名古屋市や伊勢崎市の案内で「1回30日以内、年50日以内」とされています。複数のホームを体験できる自治体もあります。
空きがないホームも多く、入居まで時間がかかることがあります。「急ぎではないけれど、いずれは」という段階から相談を始めておくと安心です。
見学で確認したいポイントは?
ホームの雰囲気は、パンフレットだけでは分かりません。見学では次の点を確認しておくと、入居後のギャップを減らせます。
- 夜間の職員体制(夜勤か、宿直か、連絡のみか)
- 食事の出し方(毎食の提供か、朝夕のみか、自炊か)
- 家賃・食費・光熱水費などの内訳と、値上げのルール
- 日中の通所先への送迎の有無
- 体調が悪いとき、通院が必要なときの対応
- 入居者の年齢層や、障害の特性の傾向
2025年度からは、地域の関係者などを交えた「地域連携推進会議」の開催がグループホームに義務づけられました。年1回以上の開催が求められ、外部の人がホームを見学する機会にもなっています。外部に開かれた運営をしているかも、選ぶときの目安の一つです。
グループホームの探し方は?
探し方は大きく3つあります。
1つ目は、市区町村の障害福祉の窓口で、地域のグループホームの一覧をもらう方法です。2つ目は、相談支援事業所の相談支援専門員に、本人に合いそうなホームを紹介してもらう方法です。3つ目は、WAM NETの障害福祉サービス等情報検索で地域と「共同生活援助」を指定して探す方法です。
筆者が一覧を見ていて感じるのは、名前や外観だけでは類型や支援の手厚さが分からないことです。候補をいくつか絞ったら、類型・夜間体制・費用の3点を電話で確認してから見学に行くと、効率よく比べられます。
グループホームから一人暮らしを目指すこともできる
グループホームは「ずっと暮らす場所」だけではありません。支援を受けながら生活力をつけ、一人暮らしに移る人もいます。
厚生労働省の資料では、2022年の法改正で、一人暮らしなどを希望する人への支援がグループホームの支援内容として明確になりました。2024年度の報酬改定では、一人暮らしに向けた退居の支援を評価する加算が新設されました。一人暮らしを目指す人向けの住居(移行支援住居)での支援も対象です。
本人の希望が変わることもあります。入居後も相談支援専門員と定期的に話し、今の暮らしが合っているかを見直していくことが大切です。
グループホームで働く人の役割
グループホームでは、主に「世話人」と「生活支援員」が働いています。世話人は食事の準備や掃除、相談など暮らし全般を支えます。生活支援員は入浴や排せつなどの介護を担当します。
夜勤や宿直のある求人が多く、資格がなくても始めやすい仕事です。福祉の仕事の種類は障害者の就労支援の記事や障害者総合支援法の記事もあわせて読むと、全体像がつかみやすくなります。
制度の詳細は、厚生労働省の障害者の利用者負担のページや、共同生活援助に係る報酬・基準についての資料(PDF)で確認できます。自治体独自の家賃助成の例は神戸市のグループホーム家賃助成のページが参考になります。
よくある質問
Q: 障害者グループホームは何歳から利用できますか?
A: 原則として18歳以上の障害のある方が対象です。身体障害のある方は、65歳未満か、65歳になる前日までに障害福祉サービスなどを利用したことがある方に限られます。
Q: 障害支援区分がなくてもグループホームに入れますか?
A: 入れます。3つの類型はいずれも障害支援区分にかかわらず利用できるとされています。ただし、ホームで介護を受ける場合は区分の認定が必要になるのが一般的です。
Q: グループホームの費用は月いくらくらいですか?
A: 家賃・食費・光熱水費などの実費が中心で、地域やホームで大きく異なります。非課税世帯ならサービスの利用者負担は0円で、家賃には月1万円までの補足給付があります。見学時に内訳を書面で確認してください。
Q: 親が課税世帯でも、利用者負担は上がりますか?
A: 18歳以上の方は、本人と配偶者の収入だけで判断されます。親の収入は含まれません。本人(配偶者がいれば配偶者も)が非課税であれば、利用者負担の上限は0円です。
Q: グループホームに入ってからも仕事や通所は続けられますか?
A: 続けられます。グループホームは主に夜間の支援を行う住まいで、日中は職場や就労支援の事業所などに通うのが基本です。日中サービス支援型では、日中をホームで過ごすこともできます。
Q: グループホームを退去して一人暮らしをすることはできますか?
A: できます。一人暮らしなどを希望する人への支援は、グループホームの支援内容として位置づけられています。サテライト型住居で練習してから移る方法もあります。
まとめ:グループホームは「類型・費用・夜間体制」で選ぶ
障害者グループホームは、支援を受けながら地域で暮らすための住まいです。3つの類型があり、障害支援区分にかかわらず利用できます。費用は家賃などの実費が中心で、非課税世帯なら利用者負担0円と家賃の補足給付が使えます。
まずは市区町村の窓口か相談支援事業所に相談し、いくつかのホームを見学してみてください。体験利用で実際の暮らしを確かめながら、本人に合う住まいを一緒に探していきましょう。

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