Q. 関節リウマチで障害者手帳はもらえる? → A. 関節の機能障害が続いていれば、身体障害者手帳の対象になりえます。手帳の区分は「肢体不自由」です。判定されるのは病名ではなく、関節ごとの機能障害の程度です。複数の関節に障害があるときは、その重さを点数にして合算し、等級を決めます。
この記事でわかること
- 関節リウマチが身体障害者手帳の対象になる仕組み
- 関節ごとの等級の目安と、複数の関節があるときの合算方法
- 症状に波があるときや、人工関節を入れたときの判定
- 申請の流れと、手帳がなくても使える支援
「指がこわばってボタンがとめられない」「膝が曲がらず階段がつらい」。関節リウマチの方やご家族から、手帳の対象になるのかという相談はよく聞かれます。本記事では、厚生労働省の認定基準と自治体の手引きをもとに整理しました。参考にしたのは、神奈川県・滋賀県などが公開する資料です。内容は2026年11月時点で確認したものです。最終的な判定は審査で決まるため、ここで示す等級は目安として読んでください。
関節リウマチで障害者手帳はもらえる?
答えは「障害の程度しだいで、もらえる」です。関節リウマチという病名だけで手帳が出るわけではありません。関節の動きにくさや筋力の低下が続くと認められたときに交付されます。手帳の区分は「肢体不自由」です。
身体障害者手帳は、身体障害者福祉法にもとづく手帳です。対象は「一定以上の永続する障害」がある方とされています。リウマチの場合は、手の指・手首・肘・肩・股関節・膝・足首など、障害のある関節ごとに程度を見ていきます。
| 状態の例 | 手帳の見込み |
|---|---|
| 薬で炎症が落ち着き、関節の動きに制限が残っていない | 対象外のことが多い |
| 一つの関節だけ、動く範囲が少し狭い(7級相当) | 単独では交付されない |
| 複数の関節で、動く範囲や握力が大きく落ちている | 等級がつく可能性がある |
| 人工関節を入れた | 術後の動きしだいで判定 |
※認定基準をもとにした目安。実際の等級は審査で決まります。
どの手帳の種類にあたる?
関節リウマチで取得するのは「身体障害者手帳」です。療育手帳や精神障害者保健福祉手帳とは別の手帳になります。手帳の種類の違いは、障害者手帳の種類の記事で詳しく紹介しています。障害の種類は「肢体不自由」です。その中の上肢(腕・手)と下肢(脚・足)の機能障害として判定されるのが一般的です。
関節リウマチの等級は何級になる?
関節ごとに「全廃」「著しい障害」「軽度の障害」の3段階で判定し、それを等級に当てはめます。判定の物差しは、関節が動く角度(関節可動域)と、徒手筋力テストという筋力の検査です。
神奈川県が公開している認定基準の解説では、主な関節の目安が次のように示されています。
| 関節(片側) | 全廃 | 著しい障害 | 軽度の障害 |
|---|---|---|---|
| 肩関節 | 4級(可動域30度以内) | 5級(60度以内) | 7級(90度以内) |
| 肘関節 | 4級(10度以内) | 5級(30度以内) | 7級(90度以内) |
| 手関節(手首) | 4級(10度以内) | 5級(30度以内) | 7級(90度以内) |
| 股関節 | 4級(10度以内) | 5級(30度以内) | 7級(一部の例のみ) |
| 膝関節 | 4級(10度以内) | 5級(30度以内) | 7級(90度以内) |
| 足関節(足首) | 5級(5度以内) | 6級(10度以内) | 7級(30度以内) |
※神奈川県「身体障害認定基準等の解説(肢体不自由)」より。可動域のほか、筋力テストや関節の動揺なども判定に使われます。
手の指や握力はどう見られる?
手指は、握力と「持ち上げられる重さ」も判定材料になります。同じ解説では、片手の5本の指全体について、握力5kg以内なら「著しい障害」(4級)の例とされています。握力15kg以内や、精密な動きができない場合は「軽度の障害」(7級)の例です。
リウマチは手の指から症状が出やすい病気です。ペットボトルのふたが開けにくい、箸が使いにくい。こうした困りごとは、診断書でも具体的に伝えたいポイントです。
7級だけでは手帳がもらえない?
7級の障害が1つだけでは、手帳は交付されません。ただし、7級が2つ以上重なると6級として扱われます。7級が6級以上の障害と重なる場合も対象です。リウマチは左右の複数の関節に出やすいため、一つひとつは軽くても、合わせると等級がつくことがあります。
複数の関節に障害があるときの等級は?
それぞれの障害を「指数」という点数に置きかえ、合計点で等級を決めます。これは身体障害者障害程度等級表の解説で定められた方法です。
| 障害の等級 | 指数 |
|---|---|
| 1級 | 18 |
| 2級 | 11 |
| 3級 | 7 |
| 4級 | 4 |
| 5級 | 2 |
| 6級 | 1 |
| 7級 | 0.5 |
合計した指数は、次の表で等級に読みかえます。
| 合計指数 | 認定される等級 |
|---|---|
| 18以上 | 1級 |
| 11〜17 | 2級 |
| 7〜10 | 3級 |
| 4〜6 | 4級 |
| 2〜3 | 5級 |
| 1 | 6級 |
※滋賀県「身体障害者診断書・意見書作成の手引き(肢体不自由)」に掲載の基準より。
たとえば、両膝が「著しい障害」(5級=指数2が2つ)だとします。さらに片方の手首も「著しい障害」(5級=指数2)だった場合です。合計指数は6で、4級の範囲です。ただし同じ腕や脚の中で障害が重なるときは、合計に上限があります。単純な足し算どおりにならない場合もあるので注意してください。
重いリウマチではどうなる?
滋賀県の手引きには、関節リウマチの診断書の記入例が載っています。例は、両肩・両肘・両手首・両股関節・両膝の機能がほぼ全廃した方です。合計指数が18点以上となり「1級相当」とされていました。全身の多くの関節に障害がある場合、重い等級になることもあるわけです。
症状に波があるときは、どの状態で判定される?
原則として、悪化していない平常時の状態で判定されます。リウマチは、炎症が強い時期と落ち着いた時期をくり返すことがあります。神奈川県の解説の質疑では、この点にふれています。悪化時の状態が永続しない場合は「発作のない状態をもって判定することが適当」との回答です。
そのため、痛みが一番強い日に合わせて申請しても、その状態がそのまま等級になるとは限りません。治療を続けても残っている関節の動きの制限や筋力低下が、判定の中心になります。
筆者が認定基準を読んで感じたのは、問われているのが「この状態がずっと続くか」だという点です。申請のタイミングは、主治医と相談して決めるのが近道でしょう。
再認定(見直し)が入ることもある?
関節リウマチは、再認定の対象になりうる病気として例示されています。根拠は、厚生省(当時)の通知「身体障害者障害程度の再認定の取扱いについて」です。治療で状態が変わると予想される病気の例に「慢性関節リウマチ」が挙げられています。この場合、認定日から1年以上5年以内に再認定を行うとされています。
再認定の時期が指定された方は、手帳に記載された時期に改めて診査を受けます。手続きの流れは障害者手帳の更新の記事をご覧ください。
人工関節を入れた場合、等級はどうなる?
2014年4月からは、手術後の関節の動きで等級が決まるようになりました。それまでは、股関節・膝関節に人工関節を入れると一律4級、足関節は一律5級でした。医療技術の進歩で、手術後に日常生活の支障が小さい方が増えたことが見直しの理由です。
| 関節 | 2014年3月まで | 2014年4月から |
|---|---|---|
| 股関節・膝関節 | 一律4級 | 4級・5級・7級・非該当のいずれか |
| 足関節 | 一律5級 | 5級・6級・7級・非該当のいずれか |
※鹿児島県・島根県などの案内より。
判定の時期は「置換術後の経過が安定した時点」です。手術の直後ではなく、リハビリを経て状態が落ち着いてから診断書を作ります。すでに手帳を持っている方は、この改正によって手帳が変わることはないと広島市などが案内しています。
人工関節で「非該当」になることもある?
手術後に関節がよく動くようになれば、非該当になることもあります。手術で痛みや動きが改善するのは、本来はよいことです。手帳の取得を目的に手術の時期を考えるのではなく、治療を優先して主治医と相談してください。
関節リウマチで手帳を申請する流れは?
流れは「指定医の診断書をもらい、市区町村の窓口に申請する」です。診断書は、身体障害者福祉法第15条の指定を受けた医師(指定医)しか書けません。リウマチの場合は、整形外科などの指定医が担当することが多いでしょう。
- 市区町村の障害福祉の窓口で、申請書と診断書の様式をもらう
- 指定医を受診し、肢体不自由用の診断書・意見書を書いてもらう
- 申請書・診断書・写真(縦4cm×横3cmが多い)・マイナンバーの確認書類をそろえる
- 市区町村の窓口に提出する
- 審査を経て、手帳が交付される
※必要書類や期間は自治体で異なります。
申請の全体像は障害者手帳の申請方法の記事にまとめています。写真の規格は障害者手帳の写真サイズの記事も参考にしてください。
主治医が指定医でないときは?
主治医がリウマチ内科で、指定医でないケースもあります。その場合は、窓口で地域の指定医の一覧を確認できます。主治医から紹介状やこれまでの検査結果をもらって受診すると、経過が伝わりやすくなります。
診断書を書いてもらう前に準備しておくことは?
日常生活で「できないこと」を、具体的に書き出しておきましょう。肢体不自由の診断書には、関節の角度や筋力のほかに動作の欄があります。着替え・食事・移動などの動作ごとに「自立」「半介助」「全介助」を書く形式です。
| 場面 | 書き出しておく例 |
|---|---|
| 着替え | シャツのボタンがとめられない、靴下がはけない |
| 食事 | 箸が持てない、コップを片手で持てない |
| 手の動作 | タオルが絞れない、びんのふたが開かない |
| 移動 | 階段の上り下りに手すりが必要、屋外は杖を使う |
| 姿勢 | 正座ができない、長く座っていられない |
筆者が滋賀県の記入例を見て意外だったのは、確認される動作の身近さです。「タオルを絞る」「丸めた週刊誌を握る」といった項目まで並んでいました。診察の短い時間では伝えきれないことも多いため、メモにして医師に渡すと書いてもらいやすくなります。
申請でつまずきやすいポイントは?
つまずきやすいのは「指定医探し」「申請の時期」「書き漏れ」の3つです。どれも事前に知っておけば防げます。
治療で良くなる見込みがあるときは?
炎症が落ち着き始めたばかりの時期は、関節の状態がまだ変わる途中かもしれません。認定基準では、障害が固定した状態で判定することが前提です。薬を変えた直後などは、少し様子を見てから申請するよう医師に言われることもあります。
片側だけ書いてもらって等級が低くなった?
リウマチは左右の関節や手足の両方に症状が出やすい病気です。痛みの強い関節だけを伝えると、ほかの関節の障害が診断書に載らないことがあります。指数は関節ごとに合算するため、困っている関節はすべて伝えてください。
家族が代わりに窓口へ行ける?
申請書の提出を家族などの代理人に認めている自治体があります。その場合も、委任状や本人確認の書類が必要になることがあります。手や足の痛みで外出がつらいときは、事前に窓口へ電話で確認しておくと安心です。
窓口に「本人が来られない場合の持ち物」を聞いておけば、二度手間を防げます。
杖や装具を使っている場合は?
筆者が神奈川県の解説を読んで気づいたのは、判定の条件がはっきり書かれている点です。肢体の機能障害は、義肢や装具などの補装具を着けない状態で判定するとされています。普段は装具や杖で歩けていても、外した状態での動きを医師に伝えてください。
手帳を取ると、どんな支援が使える?
等級や自治体によって、税の軽減や交通費の割引、補装具の支給などが受けられます。内容は等級で変わるため、交付後に窓口で案内をもらうのが確実です。
- 所得税・住民税の障害者控除
- 鉄道・バスなどの運賃割引(等級による)
- 自動車税の減免(等級や条件による)
- 杖や装具など補装具の費用の支給
- 自治体の医療費助成(重い等級が中心)
自動車を使う方は、障害者の自動車税減免の記事も参考になります。手帳を持つことに迷いがある方は、障害者手帳のデメリットの記事で気になる点を確認しておくと安心です。
手帳がなくても使える制度はある?
関節リウマチは、障害者総合支援法の対象疾病に入っています。厚生労働省の「障害者総合支援法の対象疾病一覧」に「関節リウマチ」が載っています。一覧は2025年4月から376疾病です。対象疾病の方は、手帳がなくても、必要と認められればホームヘルプなどの障害福祉サービスを使えます。
サービスの種類は障害福祉サービスの記事で紹介しています。利用には市区町村での申請と、障害支援区分の認定などが必要です。
指定難病の医療費助成は使える?
関節リウマチそのものは、指定難病の医療費助成の対象ではありません。一方、血管炎などを伴う「悪性関節リウマチ」は指定難病(告示番号46)です。認定されれば医療費助成を受けられます。該当するかは主治医に確認し、申請は都道府県・指定都市の窓口で行います。
障害年金とは何が違う?
手帳と障害年金は別の制度で、等級の基準も別々です。手帳で何級でも、障害年金の等級が同じになるとは限りません。
| 項目 | 身体障害者手帳 | 障害年金 |
|---|---|---|
| 根拠 | 身体障害者福祉法 | 国民年金法・厚生年金保険法 |
| 等級 | 1〜6級(7級は重複時のみ) | 1〜3級(3級は厚生年金のみ) |
| 窓口 | 市区町村 | 年金事務所・市区町村 |
| 人工関節の扱い | 術後の可動域で判定 | 原則3級(上位等級もあり) |
※障害年金は日本年金機構「国民年金・厚生年金保険 障害認定基準」より。
障害年金の認定基準では、腕や脚の大きな関節に人工関節を入れた場合、原則として3級と定めています。ただ3級は、初診日に厚生年金に加入していた方が対象です。受給の条件は障害年金の受給要件の記事、金額は障害年金の金額の記事で確認できます。
公式の基準はどこで見られる?
基準の原文は、国や自治体が公開している資料で確認できます。関節ごとの目安は神奈川県の身体障害認定基準の解説(肢体不自由)が読みやすくまとまっています。対象疾病は厚生労働省の対象疾病のお知らせで確認できます。障害年金の基準は日本年金機構の障害認定基準です。
まとめ
関節リウマチで障害者手帳を考えるときのポイントを整理します。
- 判定されるのは病名ではなく、関節ごとの機能障害の程度
- 複数の関節の障害は指数で合算し、等級を決める
- 7級が1つだけでは交付されないが、2つ以上なら6級になる
- 症状に波がある場合は、原則として平常時の状態で判定
- 人工関節は2014年4月から術後の可動域で判定
- 手帳がなくても、総合支援法の障害福祉サービスを使える場合がある
まずは主治医に「手帳の対象になりそうか」を聞いてみてください。指定医かどうか、どの関節が基準に近いかを確認するだけでも、次の一歩が見えてきます。等級全体の考え方は障害者手帳の等級の記事で解説しています。ほかの病気の例は障害者手帳の対象になる病名の記事でも紹介しています。
よくある質問
Q: 関節リウマチの診断だけで障害者手帳はもらえますか?
A: 診断だけではもらえません。関節の動く範囲や筋力の低下が続き、肢体不自由の基準に当てはまると認められた場合に交付されます。基準に近いかどうかは、指定医の診察で確認してください。
Q: リウマチで障害者手帳を取ると何級くらいになりますか?
A: 障害のある関節の数と程度で大きく変わります。片膝の著しい障害なら5級、両膝と片方の手首の著しい障害なら合計指数6で4級の範囲が目安です。全身の多くの関節が全廃に近い場合は1級相当となる例もあります。
Q: 痛みが強い日に診察を受けたほうが等級は上がりますか?
A: 上がるとは限りません。認定基準の解説では、悪化時の状態が永続しない場合、原則として発作のない状態で判定するとされています。治療を続けても残る障害が判定の中心です。
Q: 人工膝関節を入れたら必ず4級になりますか?
A: 2014年4月以降は一律4級ではありません。手術後の経過が安定した時点の可動域などで、4級・5級・7級・非該当のいずれかに判定されます。それ以前に交付された手帳は、改正の影響を受けないと案内されています。
Q: 障害者手帳がなくても福祉サービスは使えますか?
A: 関節リウマチは障害者総合支援法の対象疾病に含まれているため、手帳がなくても必要と認められればサービスを使えます。市区町村の窓口で申請し、支給の決定を受けてください。
Q: 一度もらった手帳は、症状がよくなったら返すのですか?
A: 再認定の時期が指定されている場合は、その時期に診査を受けます。状態がよくなり基準に当てはまらなくなれば、等級の変更や手帳の返還になることがあります。指定がない場合も、自治体が必要に応じて診査を行うことがあります。

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