Q. 障害年金の1級とは?どんな状態で、いくらもらえる? → A. 障害年金の1級とは、他人の介助を受けなければ日常生活のことがほとんどできない程度の障害が対象の、最も重い等級です。障害基礎年金の1級は、令和8年度で年額1,059,125円(昭和31年4月2日以後生まれの方)で、2級の1.25倍です。子どもがいる場合は加算もあります。
この記事でわかること
- 障害年金1級の対象者と、2級・3級との違い
- 1級の認定基準と、精神障害・内部障害でも対象になるのか
- 令和8年度の年金額と、子の加算・配偶者の加給年金
障害年金の申請方法を調べていると、「1級は寝たきりでないと無理」という話を目にすることがあります。実際はどうなのでしょうか。筆者が福祉現場の相談で聞く声でも、「1級は自分には関係ない」と思い込み、確認せずにいる方が少なくありません。本記事では日本年金機構などの公的資料に基づき、対象者、認定基準、金額、注意点までを整理します。
障害年金1級とは?結論は「介助なしには日常生活がほぼ送れない等級」
障害年金の1級は、他人の介助を受けなければ日常生活のことがほとんどできない程度の障害に対する、最も重い等級です。障害基礎年金にも障害厚生年金にもあります。
日本年金機構の障害基礎年金のページでは、1級を「身のまわりのことはかろうじてできるものの、それ以上の活動はできない方など」と説明しています。障害厚生年金のページでは、活動がベッドの周辺に限られるような方も例にあがっています。
等級ごとの位置づけを、先に表で確認しましょう。
| 等級 | 障害基礎年金 | 障害厚生年金 | 状態の目安 |
|---|---|---|---|
| 1級 | あり | あり | 他人の介助がなければ日常生活がほとんどできない |
| 2級 | あり | あり | 日常生活が極めて困難で、労働で収入を得られない |
| 3級 | なし | あり | 労働が著しい制限を受ける |
ここで押さえたいのは、1級が「介助の必要度」を見る等級だという点です。2級の詳しい仕組みは障害年金2級の記事、3級は障害年金3級の記事で解説しています。
1級をもらえる人の条件:初診日・保険料・障害の状態
1級を受け取るには、初診日、保険料の納付、障害の状態の3つをすべて満たす必要があります。この3条件は、2級や3級と共通です。
条件は次のとおりです。
- 初診日に国民年金・厚生年金のいずれかに加入していた(または20歳前・60歳以上65歳未満で日本に住んでいた)こと
- 初診日の前日時点で、保険料の納付要件を満たしていること
- 障害認定日(原則、初診日から1年6か月後)に、1級の障害の状態にあること
「初診日」とは、障害の原因となった病気やけがで、初めて医師の診察を受けた日です。この日にどの年金に入っていたかで、受け取れる年金の種類が決まります。国民年金のみなら障害基礎年金、厚生年金に加入していれば障害基礎年金と障害厚生年金の両方です。
納付要件には2つの基準があります。初診日の前々月までの加入期間のうち、保険料を納めた期間と免除された期間が3分の2以上あること。または、初診日に65歳未満で、前々月までの1年間に未納がないことです。ただし、20歳前に初診日がある場合は、納付要件そのものがありません。
初診日の証明は申請の最初の関門です。診断書の取り方は診断書の記事で説明しています。
1級の認定基準:どんな状態が「介助なしにほとんどできない」なのか
1級の目安は、「身のまわりのことをするのにも、他人の介助が必要」な状態です。障害認定基準では、活動の範囲がおおむねベッドの周辺に限られるような状態が例にあげられています。
たとえば、次のような場面が1級の判断で見られます。
- 食事、入浴、着替え、トイレの多くで、家族や支援者の手助けが欠かせない
- 自力での外出がほとんどできず、日中の大半を寝床や自室で過ごしている
- 症状の波が大きく、1人にしておくと安全が確保できない
これらはあくまで一例です。実際の認定は、診断書に書かれた症状や検査数値、日常生活の状況をもとに総合的に行われます。同じ病名でも、症状の出方によって1級になる方と2級になる方がいます。
目や耳、手足、脊柱などの障害では、障害等級表に具体的な基準があります。たとえば、両眼の視力の和が0.04以下のもの、両上肢の機能に著しい障害があるもの、といった形です。数値で判断する分野は、診断書の検査結果の正確さがそのまま結果を左右します。
精神障害・発達障害・内部障害でも1級はもらえる?
うつ病や統合失調症などの精神障害、知的障害、心臓や腎臓の病気などの内部障害でも、1級に認定される場合があります。障害の種類ではなく、日常生活にどれだけ支障が出ているかが基準です。
精神障害の場合、診断書にある「日常生活能力の判定」と「日常生活能力の程度」の2つが、等級を決める大きな材料になります。食事、清潔の保持、金銭管理、対人関係、身辺の安全保持といった項目を、どこまで自力でできるかが評価されます。
1級の目安は、多くの場面で常時の援助が必要で、1人で生活することがほぼ難しいレベルです。精神障害では、1級まで認定される方は2級に比べて少ないとされています。そのため、1級に該当するかどうかは、診断書の内容がいっそう重要になります。詳しい等級の目安は精神疾患の障害年金に関する記事や、発達障害の障害年金に関する記事で整理しています。
内部障害やがんの場合も、症状の程度や検査数値、治療内容が診断書に記載され、それをもとに決まります。入院中か在宅か、人工呼吸器や酸素療法を使っているかといった点も、状態を判断する材料になります。
1級でもらえる金額:令和8年度の年金額
令和8年度の障害基礎年金1級は、昭和31年4月2日以後生まれの方で年額1,059,125円です。昭和31年4月1日以前生まれの方は1,056,125円です。月に換算すると約8万8,260円にあたります。金額は日本年金機構が公開する令和8年4月分からの額です。
1級の障害基礎年金は、2級の1.25倍の額に設定されています。さらに、生計を維持している子がいる場合の加算があります。
| 項目 | 令和8年度の金額 |
|---|---|
| 障害基礎年金1級(昭和31年4月2日以後生まれ) | 1,059,125円 |
| 障害基礎年金1級(昭和31年4月1日以前生まれ) | 1,056,125円 |
| 子の加算額(2人目まで) | 1人につき243,800円 |
| 子の加算額(3人目以降) | 1人につき81,300円 |
たとえば子が2人いる場合、年額は1,059,125円に243,800円を2人分足した1,546,725円になります。加算の対象は、18歳になった後の最初の3月31日までの子、または20歳未満で1級・2級の障害がある子です。
初診日に厚生年金へ加入していた方は、これに障害厚生年金が上乗せされます。障害厚生年金1級は「報酬比例の年金額の1.25倍」で計算します。生計を維持されている65歳未満の配偶者がいれば、配偶者の加給年金額(令和8年度は243,800円)も加わります。なお、最低保障額が定められているのは3級のみで、1級にはありません。
報酬比例の年金額は、おおまかに「平均標準報酬額×乗率×被保険者月数」で計算します。考え方を示すため、架空の例を挙げます。以下は筆者の概算で、従前額保障などの特例は含みません。
| 平均標準報酬額(架空) | 加入月数 | 報酬比例の1.25倍の概算(年額) | 障害基礎年金を足した概算 |
|---|---|---|---|
| 30万円 | 300月とみなす | 約62万円 | 約168万円 |
| 40万円 | 300月とみなす | 約82万円 | 約188万円 |
加入期間が300月に満たなくても、300月とみなして計算されます。実際の金額は生年月日や加入状況で変わるため、年金事務所の試算で確認してください。等級別の金額は障害年金の金額一覧にもまとめています。障害基礎年金と障害厚生年金の違いは、障害基礎年金と障害厚生年金の違いの記事も参考になります。
あわせて、障害基礎年金の1級を受けている方には、所得などの条件を満たせば障害年金生活者支援給付金が上乗せされます。1級の受給者は、2級より高い月額が設定されています。
1級と2級の違い:何が変わるのか
1級と2級の最大の違いは、「介助の必要度」と、年金額が1.25倍になる点です。どちらも障害基礎年金と障害厚生年金の両方があり、制度の枠組みは同じです。
| 比較項目 | 1級 | 2級 |
|---|---|---|
| 認定の見方 | 他人の介助の必要度 | 日常生活の制限 |
| 障害基礎年金(令和8年度) | 1,059,125円 | 847,300円 |
| 障害厚生年金の計算 | 報酬比例×1.25 | 報酬比例 |
| 配偶者の加給年金 | つく | つく |
| 子の加算 | つく | つく |
| 生活者支援給付金 | 対象になりうる(月額が高い) | 対象になりうる |
1級と2級の差は、年額で約21万円(障害基礎年金のみの場合)です。厚生年金に加入していた方は、報酬比例の部分にも1.25倍が反映されるため、差がさらに広がります。
自分の状態がどちらに当てはまるか判断しにくいときは、診断書を依頼する前に、主治医へ生活上の困りごとをまとめて伝えてください。「できること」だけでなく、「誰の手助けがあってできているか」まで話すことが大切です。
診断書で伝えたい日常生活の困りごと:1級で見られる5つの場面
診断書で等級が動きやすいのは、日常生活のどの場面でどんな介助が必要かを、具体的に伝えられたときです。「大変です」という言葉だけでは、医師も状況を正確に書けません。
事前にメモをつくっておくと、診察の短い時間でも伝わります。次の5つの場面を整理してみてください。
| 場面 | 伝えたい内容の例 |
|---|---|
| 食事・排せつ | 自力で食べられるか、トイレの介助が必要か |
| 入浴・着替え | 誰がどこまで手伝っているか |
| 移動・外出 | 室内の移動に支えが必要か、外出の頻度と付き添いの有無 |
| 意思疎通・金銭管理 | 意思を伝えられるか、お金の管理を誰が担っているか |
| 身の安全 | 見守りがないと危険な場面があるか、夜間の対応は必要か |
たとえば、家族が毎日入浴と着替えを手伝っている、夜間も見守りで目を離せない、といった実態は、そのまま書いてもらうのが基本です。診察では「なんとかやっています」と答えてしまう方が少なくありません。そう答えると、困りごとが記録に残らず、実態より軽く見られる原因になります。
よくある失敗は、調子のよい日の様子だけを伝えてしまうことです。ご本人が診察に同席できない場合は、介助している家族や支援者が、普段の様子をメモにして医師へ渡すのも有効です。
1級の更新と永久認定:いつまで受け取れる?
1級の年金も、原則として一定期間ごとに状態を確認される有期認定です。多くの方は1〜5年ごとに診断書を出し、等級の継続を審査されます。
更新で1級が維持されれば、引き続き同じ金額を受け取れます。一方、症状が軽くなったと判断されると、2級や3級に変わったり、支給停止になったりする場合があります。反対に、症状が重くなったときは、更新を待たずに額改定請求をする選択肢もあります。
なお、症状が固定していて、将来も回復が見込めないとされる障害は、更新のない永久認定になることがあります。たとえば、手足の切断や、人工透析の継続などが当てはまる分野です。ただし、認定の判断は個別に行われるため、ご自身の場合にどうなるかは年金事務所へ確認してください。
1級に認定されるためのポイントと申請の進め方
1級の申請で結果を分けるのは、診断書と病歴・就労状況等申立書に、介助の内容と頻度が具体的に書けているかどうかです。書類の書き方で、同じ症状でも結果が変わることがあります。
申請の流れは次のとおりです。
- 初診日を確認し、加入していた年金制度を確かめる
- 保険料の納付状況を、年金事務所やねんきんネットで確認する
- 主治医に診断書を依頼し、介助の状況を具体的に伝える
- 病歴・就労状況等申立書を作成する
- 年金事務所(または市区町村)へ請求書類を提出する
診断書を依頼するときは、「調子のよい日」ではなく「調子の悪い日を含めた普段の状態」を伝えることが大切です。ご本人が書類をそろえるのが難しい場合は、家族が代わりに手続きを進められることもあります。1人で抱え込まず、社労士に依頼する場合の費用と進め方を確認しておくと見通しが立ちます。障害認定日から1年以上たってからの請求なら、さかのぼって受け取れる場合もあります。詳しくは遡及請求の記事で解説しています。
もらえないケースや、断られたときの対処は障害年金がもらえない人の特徴の記事にまとめています。
1級の受給で気をつけたい注意点
1級は、最も重い等級ですが、受け取り始めたあとも更新で状態を確認される場合があります。状態が改善して1級に該当しなくなると、年金額が下がったり、支給が止まったりすることがあります。
注意しておきたい点を整理します。
- 多くの方は1〜5年ごとに診断書の提出(更新)がある(障害年金の更新に関する記事を参照)
- 20歳前に初診日がある障害基礎年金には、所得制限がある(所得制限の記事を参照)
- 生活保護を受けている場合は、収入認定により保護費が調整される(障害年金と生活保護の関係を参照)
- 支給日は偶数月の15日が基本(障害年金の支給日の記事を参照)
- 65歳以降は老齢年金との選択になる場合がある(65歳以降の障害年金の記事を参照)
障害年金には、デメリットや調整項目も存在します。障害年金のデメリットの記事もあわせて確認しておくと、受給後の見通しが立ちます。申請を迷っている方は、まず年金事務所の窓口で、初診日と納付要件に問題がないかを確認してください。
よくある質問
Q: 障害年金1級の金額は月いくらですか?
A: 令和8年度の障害基礎年金1級は、昭和31年4月2日以後生まれの方で年額1,059,125円、月に換算すると約8万8,260円です。子の加算や、厚生年金に加入していた方の障害厚生年金は別に上乗せされます。
Q: 障害年金1級は寝たきりでないともらえませんか?
A: 寝たきりである必要はありません。基準は、他人の介助を受けなければ日常生活のことがほとんどできない状態かどうかです。精神障害や知的障害、内部障害でも、日常生活の支障の程度によって1級に認定される場合があります。
Q: 障害年金1級に子どもの加算はありますか?
A: あります。生計を維持している18歳到達後の最初の3月31日までの子が対象で、2人目までは1人につき243,800円、3人目以降は1人につき81,300円です(令和8年度)。20歳未満で1級・2級の障害がある子も対象です。
Q: 障害年金1級と2級ではどれくらい金額が違いますか?
A: 障害基礎年金は、令和8年度で1級が1,059,125円、2級が847,300円と、1級が2級の1.25倍です。障害厚生年金も、1級は報酬比例の年金額の1.25倍で計算します。個人差があるため、年金事務所の試算で確認してください。
Q: 障害年金は1級だと更新はありますか?
A: 更新があるのが一般的です。診断書の提出時期は、年金証書や通知に記載されています。症状が固定していて回復が見込めないと判断される場合などは、更新が不要な永久認定になることもあります。
Q: 障害年金の1級から2級に下がることはありますか?
A: あります。更新の審査で、症状が軽くなったと判断されると、2級や3級に変更される場合があります。診断書には、介助を受けている実態を正確に記載してもらうことが大切です。
まとめ:1級は「介助の必要度」を見る、最も重い等級
障害年金の1級は、他人の介助を受けなければ日常生活がほとんど送れない障害に対する等級で、令和8年度の障害基礎年金は年額1,059,125円です。厚生年金に加入していた方は、報酬比例の1.25倍の障害厚生年金が上乗せされ、条件を満たせば子の加算や配偶者の加給年金もつきます。
押さえておきたい点を整理します。
- 1級は障害基礎年金・障害厚生年金の両方にあり、年金額は2級の1.25倍
- 認定基準は「他人の介助がなければ日常生活がほとんどできない程度」で、寝たきりに限らない
- 子の加算は2人目まで1人243,800円、3人目以降は81,300円(令和8年度)
- 診断書には、できないことに加えて、介助の内容や頻度を具体的に伝える
まずは初診日にどの年金へ加入していたかを確認してください。そのうえで年金事務所や専門家に相談し、診断書の準備を進めると、手続きの見通しが立てやすくなります。


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