Q. 障害者は英語で何という? → A. 基本は「people with disabilities(障害のある人)」、法律や公文書では「persons with disabilities」です。「disabled people」も広く使われていて、間違いではありません。一方で「handicapped」は、英語圏では古い言い方として避けられています。
この記事でわかること
- 「障害者」の英語表現と、それぞれの使いどころ
- people with disabilities と disabled people の違い
- handicapped・the disabled など、避けたほうがよい言い方
- 障害者手帳・合理的配慮・特別支援学校など、関連する言葉の英語
「障害者って英語で何て言えばいいの?」。外国の方を案内するときや、英語のレポートを書くときに迷う言葉です。和英辞典を引くと複数の訳語が出てきて、どれが失礼にならないのか判断しにくいところ。本記事では、国連の条約や日本の法令の英訳、アメリカの表記ガイドをもとに、場面ごとの使い分けを整理しました。
「障害者」の英語は?いちばん無難な言い方は?
迷ったら「people with disabilities」を使えば、ほとんどの場面で失礼になりません。1人なら「a person with a disability」です。障害を先に言うのではなく、「人」を先に置く言い方で、person-first(パーソン・ファースト)と呼ばれます。
アメリカで障害者の権利を定めた法律(ADA)の情報を発信するADA全国ネットワークは、障害のある人について書くためのガイドラインを公開しています。そこでは「まず人を、障害はその次に」が原則として示されていました。
| 英語表現 | 日本語のニュアンス | 主な使いどころ |
|---|---|---|
| people with disabilities | 障害のある人たち | 会話・案内・一般的な文章 |
| persons with disabilities | 障害のある人々(かたい表現) | 条約・法律・公文書 |
| disabled people | 障害者 | ニュース・当事者団体の文章など |
| a person with a disability | 障害のある人(1人) | 個人について話すとき |
日本語の「障害者」は、英語に直すと「with」を使った言い方が最も中立的です。
people と persons の違いは?
意味は同じで、persons のほうが改まった言い方です。国連の「障害者の権利に関する条約」の英語名は「Convention on the Rights of Persons with Disabilities」で、略してCRPDと呼ばれます。法律や条約の名前では persons、日常会話では people と覚えておけば十分です。
disabled people は失礼?person-first と identity-first
disabled people は失礼な言い方ではなく、当事者が自分から選んで使うことも多い表現です。障害を自分の一部として前に出す言い方で、identity-first(アイデンティティ・ファースト)と呼ばれます。
アメリカ心理学会(APA)の文章スタイルのガイドは、person-first と identity-first のどちらも、障害のある人を尊重するための言い方だとしています。そのうえで、本人や当事者グループが望む呼び方があれば、それを優先するよう求めていました。
| 考え方 | 例 | 込められた意味 |
|---|---|---|
| person-first | a person who is blind | 障害より先に「その人」を見る |
| identity-first | a blind person | 障害を自分らしさの一部として示す |
ろう(Deaf)・盲(blind)・自閉症(autistic)のコミュニティでは、identity-first を好む人が多いとされています。たとえば「autistic person」と呼ばれたい人もいれば、「person with autism」がよいという人もいます。
筆者が英語の資料を読み比べて感じたのは、「どちらが正解か」より「相手に合わせる」姿勢が重視されている点です。相手の呼び方がわからないときは people with disabilities を使い、本人が別の言い方をしていたらそれに合わせてください。
the disabled はなぜ避けられる?
「the disabled」は、人をひとまとめに「障害者という集団」として扱う響きがあるため避けられます。ADA全国ネットワークのガイドラインでも、「the disabled」は使わない言い方の欄に入っていました。形容詞の disabled を名詞のように使うのではなく、「disabled people」と人を表す名詞を添えると印象が変わります。
handicapped は使ってはいけない?避けたい英語表現
handicapped は、英語圏では「古く、受け入れられない言葉」とされ、今は使われません。ADA全国ネットワークのガイドラインでも、そのように明記されていました。駐車場も「handicapped parking」ではなく「accessible parking」と言います。
日本では「ハンディキャップ」という言葉がまだ耳慣れているため、そのまま英語で使ってしまいがちです。ほかにも、言い換えたほうがよい表現がいくつかあります。
| 避けたい表現 | 言い換えの例 | 理由 |
|---|---|---|
| handicapped | people with disabilities | 古い言い方とされる |
| the disabled | disabled people / people with disabilities | 集団でひとくくりにする響き |
| wheelchair-bound | a person who uses a wheelchair | 「車椅子に縛られた」という意味になる |
| stroke victim | a person who has had a stroke | 「被害者」と決めつける |
| normal(障害のない人を指して) | people without disabilities | 障害のある人を「普通でない」とする |
| handicapped parking | accessible parking | 設備は「使いやすさ」で表す |
※ADA全国ネットワーク「Guidelines for Writing About People With Disabilities」をもとに作成。
「differently-abled」や「special」はていねいな言い方?
やさしく言い換えたつもりの表現も、かえって見下した印象を与えることがあります。ADA全国ネットワークのガイドラインは、differently-abled・challenged・special などを「見下した響きと受け取られやすい」言い方として挙げていました。遠回しにせず、disability という言葉をそのまま使うほうが自然です。
障害の種類ごとの英語表現
障害の種類は「a person with + 障害名」か、本人が使う identity-first の形で表します。病名や障害名で人を呼ぶ(例:an epileptic)のは避けるのが一般的です。
| 日本語 | 英語の例 | 補足 |
|---|---|---|
| 身体障害 | physical disability | 肢体不自由は mobility impairment とも |
| 知的障害 | intellectual disability | mental retardation は使わない |
| 精神障害 | psychiatric disability / mental health condition | mentally ill という言い方は避ける |
| 発達障害 | developmental disability | 自閉スペクトラム症は autism |
| 視覚障害 | visual impairment / blind | 全盲は blind、弱視は low vision |
| 聴覚障害 | hearing loss / deaf | 文化的な「ろう者」は Deaf と大文字で書くことも |
| 学習障害 | learning disability | slow learner は使わない |
精神障害については、ADA全国ネットワークのガイドラインも「mentally ill」ではなく「mental health condition」「psychiatric disability」を勧めていました。
「障害のない人」は英語で何という?
「people without disabilities(障害のない人)」が最も中立的な言い方です。「healthy(健康な)」「normal(普通の)」を使うと、障害のある人が不健康・普通でないと言っているように聞こえます。日本語の「健常者」をそのまま訳すときに起こりやすい失敗なので、気をつけてください。
障害者手帳・合理的配慮など制度の英語
制度の名前は、日本政府が公開している法令の英訳に合わせるのが確実です。法務省などが運営する日本法令外国語訳データベースでは、障害者基本法などの英訳を読めます。ただし英訳は参考訳で、法的な効力があるのは日本語の原文だけです。
| 日本語 | 英語の例 |
|---|---|
| 障害者基本法 | Basic Act for Persons with Disabilities |
| 障害者総合支援法 | Act on Providing Comprehensive Support for the Daily Life and Life in Society of Persons with Disabilities |
| 障害者差別解消法 | Act for Eliminating Discrimination against Persons with Disabilities |
| 障害者権利条約 | Convention on the Rights of Persons with Disabilities(CRPD) |
| 合理的配慮 | reasonable accommodation |
| 障害者手帳 | disability certificate(決まった公式訳はない) |
| 特別支援学校 | special needs school / school for special needs education |
| バリアフリー | accessible / accessibility |
※法律名は日本法令外国語訳データベースの表記(2026年11月時点)。障害者手帳・特別支援学校は一般的な訳の一例です。
法律の英訳は長いため、会話では「Japan’s disability discrimination act」のように短く言い換えても通じます。障害者差別解消法の中身は、障害者差別解消法と合理的配慮の記事で解説しています。
障害者手帳はどう説明すればいい?
障害者手帳には決まった公式の英訳がなく、「disability certificate」と言えば意味は伝わります。辞書では身体障害者手帳を「physical disability certificate」と訳す例が多く、自治体の英語ページでも訳し方はまちまちです。海外の方に説明するときは、次のように一言添えると伝わりやすくなります。
This is my disability certificate issued by the local government in Japan.
(これは日本の自治体が発行した障害者手帳です)
日本の手帳は身体・療育・精神の3種類に分かれ、英語圏にはない仕組みです。種類ごとの違いは障害者手帳の種類の記事を参考にしてください。
特別支援学校の「special needs」は使っていい?
日本の学校名の訳としては、special needs school がよく使われています。文部科学省も特別支援教育を「special needs education」と英訳してきました。一方で英語圏には、「special needs」を遠回しな言い方として避ける声もあります。人を指すときは「students with disabilities(障害のある生徒)」と言うほうが無難です。特別支援学校の仕組みは特別支援学校の記事で紹介しています。
そのまま使える英語フレーズ
案内や手助けの場面では、「障害」よりも「何が必要か」を聞く言い方が自然です。英語圏では、相手の障害の内容を直接たずねるのは失礼にあたりやすいためです。
| 場面 | 英語フレーズ | 日本語訳 |
|---|---|---|
| 手助けを申し出る | Can I help you with anything? | 何かお手伝いできることはありますか? |
| 必要なことを聞く | Is there anything you need? | 何か必要なものはありますか? |
| 設備を案内する | There is an accessible restroom on this floor. | この階に多目的トイレがあります。 |
| エレベーターを案内する | The elevator is over there. | エレベーターはあちらです。 |
| 筆談を提案する | Would it be easier to write it down? | 書いてやりとりするほうがよいですか? |
| 待ってもらう | Please take your time. | ゆっくりで大丈夫です。 |
「Can I help you?」と声をかけて断られたら、それ以上は押しつけないのがマナーです。日本語での声のかけ方は、障害者への接し方の記事でも場面別にまとめています。
「障害者用」の設備は英語でどう書く?
設備には disabled ではなく accessible を付けるのが今の主流です。ADA全国ネットワークのガイドラインでも、「disabled restroom」ではなく「accessible restroom」と書くよう示していました。
筆者が気になったのは、日本語の「障害者用」を直訳すると、disabled や handicapped になりやすい点です。案内板や資料を英訳する機会があれば、accessible に置き換えると印象がやわらぎます。駐車場や優先スペースで見かけるマークの意味は、障害者マークの記事で紹介しています。
ニュースや資料でよく見る関連用語は?
障害に関する英語のニュースでは、inclusion(インクルージョン)と accessibility(アクセシビリティ)がよく出てきます。どちらも日本語でカタカナのまま使われることが増えた言葉です。意味を押さえておくと、英語の記事や資料が読みやすくなります。
| 英語 | 日本語の意味 |
|---|---|
| inclusion / inclusive | 誰も取り残さず、ともに参加できる状態 |
| accessibility | 設備や情報の使いやすさ・利用しやすさ |
| assistive technology | 障害のある人の生活を助ける機器や技術 |
| support worker / caregiver | 支援員・介助者 |
| sign language interpreter | 手話通訳者 |
| International Day of Persons with Disabilities | 国際障害者デー(12月3日) |
12月3日は国連が定めた「国際障害者デー」です。日本ではこの日から12月9日までが「障害者週間」とされ、啓発の行事が各地で開かれます。英語のニュースでこの言葉を見かけたら、障害者の権利や暮らしを考える日だと思い出してください。
「barrier-free(バリアフリー)」は日本ではおなじみの言葉ですが、英語圏では accessible のほうが一般的です。英語で資料を作るときは「accessible entrance(段差のない入口)」のように書くと、海外の方にも自然に伝わります。
福祉の仕事をしている方なら、職種の英語も知っておくと便利です。たとえば生活支援員は「support worker」、ジョブコーチはそのまま「job coach」で通じます。
英語で書くときに迷わないための3つのコツ
迷ったときは「人を主語にする」「本人の呼び方に合わせる」「設備は accessible」の3つを守れば大きく外れません。言葉のルールは時代とともに変わるため、覚えた単語より考え方を持っておくほうが役に立ちます。
- 人を主語にする:「an epileptic」ではなく「a person with epilepsy」のように、人を先に置く
- 本人の呼び方に合わせる:相手が「disabled」「Deaf」などを使っていたら、それに合わせる
- 設備は使いやすさで表す:トイレ・駐車場・入口は accessible を付ける
もう1つ、障害に触れる必要がない場面では、そもそも障害を話題にしないことも大切にされています。ADA全国ネットワークのガイドラインも、話に必要なときだけ障害に触れるよう求めていました。
まとめ
障害者の英語は、迷ったら「people with disabilities」、かたい文書なら「persons with disabilities」です。「disabled people」も失礼ではなく、当事者が好んで使う場合もあります。
- handicapped・the disabled・wheelchair-bound は避ける
- 障害のない人は people without disabilities と言う
- 設備には accessible を付ける
- 制度の名前は日本法令外国語訳データベースの英訳に合わせる
いちばん確かなのは、相手がどう呼ばれたいかに合わせることです。言葉選びに迷ったら、まず本人に聞くか、本人が使っている言い方をまねてください。
よくある質問
Q: 障害者を英語で一言で言うと何ですか?
A: 一般的には「people with disabilities」です。1人なら「a person with a disability」と言います。法律や条約では「persons with disabilities」が使われます。
Q: disabled は差別用語ですか?
A: 差別用語ではありません。「disabled people」は当事者団体やニュースでも使われる表現です。ただし「the disabled」と名詞のように使う言い方は、集団でひとくくりにする響きがあるため避けられています。
Q: handicapped はもう使わないほうがいいですか?
A: 使わないほうが安全です。アメリカのADA全国ネットワークのガイドラインは、handicapped を古く受け入れられない言葉としています。駐車場なども accessible parking と言い換えます。
Q: 健常者は英語で何といいますか?
A: 「people without disabilities」が中立的な言い方です。「normal」や「healthy」を使うと、障害のある人が普通でない・不健康だと言っているように聞こえるため避けてください。
Q: 障害者手帳の正式な英語名はありますか?
A: 国として決まった公式の英訳はありません。「disability certificate」と言えば意味は通じます。海外で見せるときは「issued by the local government in Japan(日本の自治体が発行)」と添えると伝わりやすくなります。
Q: 合理的配慮は英語で何といいますか?
A: 「reasonable accommodation」です。国連の障害者権利条約の英語版でも、この言葉が使われています。日本の障害者差別解消法の英訳では「necessary and reasonable accommodation」と訳されています。

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